宮本、上原、阿部、新井コメント
野球日本代表・凱旋帰国会見
2007年12月04日
スポーツナビ
宮本「北京も日本球界のために頑張りたい」
星野ジャパンの主将を務めた宮本慎也。アテネ五輪、ワールドベースボールクラシックを経験し、国際大会の怖さを知っているからこそ、神戸の自主トレから「練習から気を抜いてはいけない」と選手にアドバイスを続けてきた。アジア予選は台湾戦のみの出場だったが、一塁コーチャーを務めたり、内野守備体形などをベンチからアドバイス。星野監督も「宮本がよくやってくれた」と、その働きを絶賛していた。以下は宮本のコメント。
10月29日に日本代表の自主トレがスタートして1カ月あまりだが、何とか五輪の切符を勝ち取ることができた。最終候補メンバーから外れた7人の選手の思い、また、ファンの思いや野球界の思い、もともと五輪はアマチュアの大会だったので、アマチュア関係者の思いも含めて、納得いく形で切符を取ろうとした。勝って当たり前というプレッシャーをみんなで背負って、何とか第一関門を突破できた。台湾にも予想していなかったくらいの数のファンが来てくれて、僕らの背中を押してくれた。
――台湾戦の7回、宮本選手の走塁(三塁へのスライディング)から始まった逆転劇だったが
前日の韓国戦がすごい試合になり、どんな素晴らしいチームでも、ああいう試合の次の日は抜ける部分が出てくると思ったけど、試合前に監督から「そういう気持ちをなくし、今日勝たないと意味がない」という話があり、それで引き締まった。
――主将として、今回どういう部分を一番気遣ったのか
ダルビッシュが21歳、ぼくが37歳、矢野さんが39歳と年齢に開きがあったので、できるだけコミュニケーションをしっかり取ろうと思った。
――そのほかに、国際大会ならではの特別な気持ちの持っていき方はあったか
やはりオリンピックは歴史があって、1984年のロサンゼルス五輪から、いろんな方が関わってきたので、そういう人たちのためにも何とか北京の切符を勝ち取りたいと思っていた。
――国際大会で格別な思いはあったのか
韓国戦が自分の体験した国際大会の試合で一番しんどい試合だった。ぼくは試合には出ていないが、翌日体が張っていた。それだけ緊張していた。
――北京への抱負は?
五輪競技としての野球が最後になる大会かもしれないし、もしかして次の第一歩になる大会かもしれない。何が何でもみんなで日本野球界のために頑張りたい。
上原「自然体で臨めるように心掛けた」
大体大時代から国際大会経験豊富な上原浩治は、投手キャプテンとして若い投手陣を引っ張ってきた。韓国戦では1点リードの9回に登板し、打者3人をぴしゃり。台湾戦も無失点と完ぺきなリリーフで胴上げ投手となった。以下は上原のコメント。
ピッチャー陣は14人から始まり、最終的に5人がメンバーから落ちて、すごく複雑な気持ちがあった。14人で戦ったという気持ちをみんなに忘れてほしくないという思いで、3試合を戦った。本当に3つ勝てて良かったなという気持ちでいっぱい。帰りの新聞で読んだが、(テレビ中継の)視聴率が高かったと聞いている。日本の人たちの関心が、ちょっとでも野球の方に傾いてくれたことがすごくうれしい。だからこそ8月の本戦では必ず金メダルを取りたいという思いがあるので、それに向けて、まずは来シーズンをケガなく、一生懸命頑張りたいと思う。
――2試合続けて登板となったが、どんな思いでマウンドに上がったのか
内容どうこうではなく、とにかく勝てばいいという気持ちだった。
――投手陣キャプテンとして一番心掛けたことは?
若い投手がいたので、とにかく自然体で試合に臨めるようにした。
――ブルペンからはどんな気持ちで試合を見ていたのか
韓国戦は1点差になった時、正直「マジかよ、きついな」とは思った。台湾戦に限っては点差があったので、気楽に投げられた。
――台湾戦は相当なアウエーの雰囲気があったと思うが
甲子園の阪神vs.巨人がぼくは世界一だと思ってるんで、それ以上のものはないと思う。
――どういうピッチングを心掛けたのか
キャッチャーのサイン通りにミット目掛けて投げて、気持ちだけ負けなければ、そんなに打たれないだろうと思っていた。
――北京への抱負は?
このメンバー全員が行くかは分からないが、みんなが来年のシーズンでいいスタートを切って、とにかくこのメンバーでもう一回やりたいと思っている。みんなで頑張っていきたい。
――投手キャプテンとして苦労したことは?
特に苦労はなかったけど、居酒屋(神戸での投手会)とゴルフ場(宮崎での投手会で行われたゴルフコンペ)の予約が大変だった(笑)。
阿部「プレッシャーをはねのけて勝てた」
3試合とも5番で出場した阿部慎之助。「長打を捨てて、とにかくつなぐ気持ちだけで打席に入っている」コンパクトなスイングで13打数10安打と打ちまくり、MVPと最優秀打者を獲得した。以下は阿部のコメント。
――MVPを獲得したが、どんな大会だったのか
しんどかった。終わってみれば、勝って当たり前と言われながら、ベンチにいた全員にプレッシャーがかかる中で、それをはねのけて勝ったのがうれしい。チームがひとつになったし、星野監督、宮本さんの一言が自分には響いた。みんながひとつになれたのが一番。
――国際経験の難しさは
一戦勝負だし、アンパイアも違うし、普段ではあり得ないことが起こるのが国際大会。自分自身のこれまでのたくさんの日本代表経験を生かせた。
――MVPを取った心境は
神戸の自主トレから付き合ってくれた裏方さんやぼくを選んでいただいた監督、スタッフの皆さんに感謝している。
新井「必死でやったことがいい結果に結びついた」
新井貴浩は星野ジャパン不動の4番として、勝負強いバッティングで勝利に貢献。台湾戦では9回のダメ押しとなる2ランを含む4打点と気合を見せた。以下は新井のコメント。
――日本代表の4番を任されて、どうだったか
口では何と表現していいか分からないくらいの重圧がかかった。
――その中での活躍だったが、重圧はどうやってはねのけたのか
余計なことは考えず、目の前の試合に絶対勝つという強い気持ちを持って、必死にやったことがいい結果に結び付いた。
<了>
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