トイレは空気吸引。原理は掃除機に近いもの

洗面台と同様、無重力では水が流れませんから、スペースシャトルのトイレも水洗ではありません。ミッドデッキの一角に男女兼用のトイレがあり、形は地上のものと似ていますが、トイレにはちょっとした仕掛けがあります。排泄物が飛び散ったりしないように、空気で吸引して、そのあと真空にして乾燥させてしまうのです。しくみは、小便と大便で少しちがい、小便の場合は、便器前方にある掃除機のホースのような管に吸引されます。大便は、洋式トイレと同じように便座にすわり、レバーを操作して、その中央の小さな吸い込み口から吸引させます。


以前は袋の中に排尿。トイレにもかなりの熟練が必要だった

地上とは異なり少しコツが必要といわれるスペースシャトルのトイレですが、これでも以前と比べてはるかに便利になったのです。宇宙での滞在期間が短かった初期の有人飛行のころは、おしめで間に合わせたり、袋に入れて持ち帰ったりという状況で、宇宙飛行士たちにはかなり不評だったようです。実際に、無重力では地上とちがってふんばりがききませんし、出したものも下には落ちないため、からだにまとわりついたり、空中をただよったりするので、トイレ1つにもかなりの熟練が必要だったようです。また、打ち上げと大気圏突入、そして宇宙遊泳のあいだはいまでも与圧服を着ているため、トイレを使うことができず、採尿袋かおしめを使用しています。