AJCC・G2(21日・中山11R)、圧勝だ。マツリダゴッホが、2着インテレットに5馬身差をつけて、豪快に重賞初勝利を決めた。国枝師はJRA400勝、横山典もJRA重賞90勝、ともにメモリアルV達成。1番人気のインティライミは逃げて4着に終わり、復活Vはお預けとなった。
願ってもない流れになった。逃げるインティライミが予想以上に速いペースを刻む。道中で行きたがるタイプのマツリダゴッホが、ピタリと折り合った。仕掛けるわけでもなく、ごく自然にポジションアップ。直線を向くや、早々に1番人気馬を並ぶ間もなくかわした。ほかについてこれる相手はいない。ねじ伏せた。
「返し馬の雰囲気も最高だった」。JRA重賞90勝を決めた横山典に笑顔が浮かぶ。ペースが向いたのは確かだが、気性面でひと皮むけたのもまた事実だ。「派手に勝ち過ぎたな。G1?みんなすぐそう言うけど、辛口に言えばまだまだ。階段を半分くらい上った段階」。その言葉は、とてつもなく大きく育つ可能性、期待の裏返しに過ぎない。
昨秋のセントライト記念では4角で落馬。同じ舞台で行われた“リベンジ戦”を完勝した。「きょうは楽に見ることができたよ」。前日の中山5Rでは、管理馬コンジキノシシオウが競走中の故障で予後不良に。そのつらさがあったからこそ、国枝師の表情には喜びと安どが同居する。SS産駒の最終世代にあたるゴッホは、早くから期待していた馬。このあとは日経賞からさらなる飛躍に挑む。
同馬だけではない。マイネルシーガル、ピンクカメオといった3歳馬は、すでに賞金面でクラシック出走を確定的にしている。2年2カ月ぶりの重賞Vは、国枝きゅう舎にとって節目のJRA通算400勝。07年の快進撃を予感させる勝利だった。