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山陽新幹線の検札廃止、東海道には広がらず JR2006年06月17日16時50分 新幹線の座席で気持ちよく寝入っていたところ、「切符を拝見させていただきます」と車掌に起こされる――。山陽新幹線を走る「ひかりレールスター」や「こだま」でそんな光景が消えて1年余りになる。JR西日本が携帯情報端末を導入し、切符を確認しなくても済むようになったためだ。乗客にも好評だが、いまのところ山陽新幹線内だけを走る列車限定。東海道新幹線への拡大の要望は強いが、JR東海は「検札の廃止は考えていない」とつれない。
山陽新幹線では、1編成あたり2〜3人の車掌が指定席を検札し、手持ちの座席整理表に各乗客の行き先の駅を書き込んでいた。JR西日本は昨年2月、手のひらサイズの「車内補充券発行機」という携帯情報端末約300台を導入。マルス(旅客販売総合システム)のホストコンピューターから指定席の販売情報を携帯端末に取り込み、座席の状況を確認する仕組みを採用した。 車掌は事前に列車番号を登録しておけば、乗車区間や大人・子どもの区別などが端末画面に示され、通路を歩きながら確認できる。販売されていない座席にいる乗客への対応のみで済む。以前は睡眠中の乗客には時間をあけて再度巡回したり、起こしたりしていたが、その手間もなくなった。 同社運輸部は「業務が楽になっただけでなく、『信用できないのか』と文句を言われるトラブルもなくなり、気遣いも減った」。乗客からも「眠っているのを妨げられなくなった」と好評だ。 もっとも、検札の廃止は、山陽新幹線区間(新大阪―博多)のみを走る「のぞみ」(1日上下2本)と「ひかりレールスター」(同48本)、「こだま」(同111本)のみで、山陽新幹線を走る全列車の5割強。JR東海は検札を続けているため、東海道新幹線に乗り入れる「のぞみ」や「ひかり」は従来通り検札を実施している。 JR東海が検札を廃止しない理由の一つが、一部乗客の乗り方だ。1時間あたり平均8本と運転本数が多い東海道新幹線では、指定席を買っていても、予定より早く駅に到着した場合、出発時間が早い列車の自由席が空いていれば乗ってしまう乗客がいる。逆に、乗車後に指定券を買うつもりで空いた指定席に座ってしまう乗客も多く、検札をしなければ指定料金(東京―新大阪間で810〜510円)を取りはぐれる、というわけだ。 だが、指定料金の徴収をめぐる問題は山陽新幹線も事情は同じ。JR西日本は「そういう人から徴収はできないが、指定料金はもともと指定券を買った人にお支払いいただいているため、問題はないと考えている」と話す。 東海道、山陽の両区間を走る直通列車でも、車掌が交代する山陽区間内では、検札を廃止することは可能だが、「同じ列車なのに、区間で対応が異なるのはトラブルになりかねない」(JR西日本)として実施していない。 携帯端末を活用した車内検札廃止の動きは全国の鉄道会社で相次いでいる。JR東日本は02年から、東北、長野、上越、秋田、山形各新幹線の指定・自由両席で廃止。近畿日本鉄道も01年からほとんどの特急で廃止している。 PR情報この記事の関連情報暮らし
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