SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2005年8月13日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「只今、帰省中!」

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 昨日、ニュースは帰省ラッシュのピークを告げていました。今週から来週にかけてはお盆休みの方も多いのではないかと思うのですが、今年はどんな夏を過ごされますでしょうか。
 当店AVANTIでは、早めの帰省から戻られた皆さんが、グラスを傾けながら故郷話に花を咲かせておられます。そんな当店の常連のお客さまたちの帰省のお話を、ここで少しだけご紹介させていただきましょう。


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ラモス瑠偉さん(元サッカー日本代表選手)

『ブラジルへの里帰り』の話

 だいたい年に1度、3週間〜1ヶ月くらいはブラジルへ里帰りしている。
 カーニバルの時期に当たればカーニバルに入り浸り。そうじゃなかったら幼馴染みの仲間とフットサルをやったり、ビーチサッカーをやったりしている。
 ブラジルに帰るとほとんどビーチにいる。朝起きて、歩いて100mもないビーチへ行って、朝ご飯がわりにビーチでおつまみをつまむ。そのまま夕方の5時くらいまでビーチにいて、サッカーで遊んだり。その後、家に戻る途中にお店が2軒あるので、そこへ寄ってビールを飲みながら友達と日本の話をしたりする。
 一度帰ってシャワーを浴びて、また外に出掛けて“シュラスコ”のお店に行ったりもする。シュラスコはブラジル風のバーベキューで、大きなお肉の塊を焼くので、みんなで集まって騒ぐのにちょうど良い。
 ブラジル人はみんなで集まったら、みんなでリラックスしているか喧嘩しているかどちらか。ブラジル人からしてみれば、日本人はいるのかいないのかわからないくらい静か。ブラジル人は「会社で何があった……テレビの番組がどうした……」なんてことを、とにかく喋りまくる。
 基本的に僕は、そういう場所でサッカーの話だけはしない。ところがウチの2人の姉さんがサッカー好きで、それぞれライバル同士のチームを応援しているから、もう大変。片方のチームが負けると、全然関係ないのに負かしたチームのユニフォームを着てきて「お前のチーム負けたでしょ」なんて喧嘩を売る。
 珍しく僕が「あそこのチームは負けたけど……」なんて解説らしいことを言おうとしても、「負けた!ざまあみろ!」と騒ぐだけで全然聞いちゃいない。両方負けても「ウチは1-0、そっちは3-0」なんて言ってる。そんな騒ぎで水曜日と土日はいつも大変。大変だけど面白い。
 里帰りといっても、特に変わったことをするわけじゃなくて、そんなブラジルの日常を過ごしてくる。特にリオではそう。一度くらいお土産を買いにショッピングセンターへ行くけど、そこでも友達に会って「飲もう!」なんて。

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はしのえみさん(タレント)の

『鹿児島弁』の話

 鹿児島では今でも西郷さんの人気がスゴイ。何年か前に、鹿児島の若い女の子に「西郷さんとベッカム、どっちと付き合いたいか?」というアンケートを取ったら、西郷さんが勝った。それくらい西郷さんは鹿児島の英雄。
 西郷さんと言えば上野の銅像のイメージがあるけど、本当にああいう顔だったかどうかわかっていない。西郷さんは写真が嫌いだったので、写真が1枚も残っておらず、上野の銅像は西郷さんの兄弟の写真を見て想像で作ったモノなのだとか。だから西郷さんの奥さんがあの銅像を見て「ウチの旦那はこんな顔じゃなか」と言ったという伝説が残っている。
 私の母は東京出身で、鹿児島に嫁いだ。やっぱり最初はいろいろ大変だったらしい。たとえば言葉の問題。まるで英語みたいだけど、鹿児島弁で「ワッツェ・ビンテ・クライ」というのは「すごく(ワッツェ)頭に(ビンテ)くる(クライ)」という意味。
 九州の中でも鹿児島というのは特に独特で、薩摩藩が他の藩にわからないようにどんどん言葉を暗号っぽくしてしまった影響らしい。だから「適当にしようよ」が「テゲテゲ(適当)エータッガー(でいいんじゃない)」なんて。これは知らなければわからないだろうと思う。
 私はけっこう鹿児島に帰る機会が多くて、去年は仕事も含めて6回も鹿児島に帰った。今年もすでに3回も帰っているし、来週も仕事で帰ることが決まっている。これだけ頻繁に帰ると、親も友達も「また帰ってきた」だし、町の人も「またはしのえみがいるね」って程度の扱い。親と水族館に行ったり、友達とカラオケに行ったり、里帰りというよりは、住んでる人の日常の生活に近い。
 帰ると言葉はすぐに切り替わる。「えみちゃん、今度はいつカラオケに行くのけー?」「明日行くがー」「じゃ、タカプラ前待ち合わせるがー」なんて。ちなみに“タカプラ”は“タカシマヤプラーザ”という鹿児島の待ち合わせ場所の定番で、語尾の「がー」は「〜しようよ」という呼びかけ。「行くがー(行こうよ)」「やるがー(やろうよ)」「するがー(しようよ)」という風に使う。でも伸ばさずに「が」だと「〜だよね?」という意味になる。だから「えみちゃんは女だが」は「えみちゃんは女だよね?」という意味。
 こんな鹿児島弁は、我ながら他の県よりもハードルが高いと思う。
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パンツェッタ・ジローラモさん(エッセイスト)

『8月のイタリア』の話

 8月はイタリア人が休みを取る時期。みんな町から海の方へ行ってしまうので、せっかく帰っても誰もいない。だから8月にはあまり帰る気にならない。
 イタリアでは8月の真ん中頃に地元へ帰る人もいる。特に8月15日は各地で祭りが多い。ちょうど日本のお盆と時期が一緒だけど、「死んだ人が帰ってくる」みたいな意味はなくて、単純に夏祭りが田舎の方で催されるということ。イタリアに住んでいればそういうお祭りを見に行くのも悪くないけど、わざわざ日本から行くほどのものじゃない。
 8月のイタリアは、みんな休んでいるし、車を借りるのも苦労するし、飛行機も高いし、食べ物もおいしくない。食べ物がおいしくないのは、人がいなくなってマーケットにあまりモノがなくなるせい。だから8月のイタリアはあまりオススメできない。行くなら7月か9月が良い。
 買い物をしようと思っても、8月はどこも閉まっている。友達が「イタリアに行って来ます!」と8月にイタリア旅行に行くと、「ジロー!どこもお店やってなかった!」とガッカリして帰ってくる。それは当たり前。イタリア人も8月は休む。
 暑い時期にナポリで美味しいのは、トマトとかナス、ズッキーニといった夏の野菜。特にトマトは産地なので美味しい。それから果物。みかん、オレンジ、レモン……レモンもナポリの特産なので、すごく美味しい。皮が分厚くて、中身はグレープフルーツみたい。そのまま食べても美味しい。
 ナポリには「LIMONCELLO(リモンチェッロ)」というお酒がある。これはレモンの皮で作るお酒。冷やして飲むとさっぱりして美味しい。日本で言えば「梅酒」みたいな感覚で、作り方も似ている。レモンの皮を砂糖とお酒に漬けるんだけど、ちょっと違うのが焼酎じゃなくて、100%のアルコールを使うこと。
 イタリアではそういった「お酒を造るためのアルコール」が売っているので、ウチのお母さんはクルミのお酒、オレンジのお酒、ミカンのお酒など、いろんなお酒を造っている。クルミのお酒はちょっと苦くて、その苦さが美味しい。

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吉野健さん(パリ『ステラ・マリス』オーナーシェフ)

『喜界島』の話

 僕の出身は喜界島。平家物語で俊寛僧都が流されたという伝説も残っている、当時は最果ての島だった場所。
 島自体は隆起珊瑚の島なので、他の奄美や沖縄にいるハブも、土壌が違うために生息できない。現在はサトウキビを主体に農業が行われている。
 島の中で一番高い場所で海抜200mしかない。緩やかな台地のような形をしていて、平安時代には浜辺で男も女も和歌を詠みながらささやいた……という文化のある土地。倭寇や海賊が通る基地としても栄えたらしく、京都でも古い「松尾神社」が喜界島にはある。
 ペリー提督が名付けたと言われる「クレオパトラ・アイランド」という別名もあるくらい、海のキレイな島。僕が子供の頃は海に飛び込めば、小さな熱帯魚からけっこう大きな魚まで、たくさんの魚が泳いでいた。今は多少は変わっただろうと思うけど、それでも6〜7mもいけば別世界が広がっている。
 東京から喜界島へ行くには、羽田から鹿児島へ行って、鹿児島から喜界島へ。喜界島は特攻隊の基地だったので、奄美諸島の中でも最も早く飛行場ができた。
 僕のお店はパリにあるので、里帰りをするには喜界島、鹿児島、東京、パリを乗り継ぐ。両親にはいまだに「早く島に帰ってこい」と言われるけど、さすがに狭すぎて3日もいたら飽きてしまう。
 僕のお店で出している「喜界島のヤギのカルパッチョ」は、他の国で扱うヤギ料理と違って皮付きなのが美味しさの秘訣。喜界島に限らず奄美や沖縄では大事な家畜であり食料で、今でもめでたい時や大事な時に食べる習慣がある。別に郷愁の念に駆られて出しているわけではないけれど、喜界島出身の人間としてもっと多くの人に紹介したい。
 できればその内、島に豚やヤギを加工するアトリエみたいな場所を作れたらと思っている。

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阿部久恵さん(日本空港ビルディング)の

『東京みやげ』の話

 東京みやげでダントツの人気を誇るのが「東京ばな奈」。それから「ひよ子」も人気がある。
 最近の傾向として、生のスイーツの人気が出ている。その日しか食べられないとか、2〜3日しか日持ちがしなくても、美味しければ買っていく方が多くなった。たとえば「チーズうさぎのロールケーキ」とか、中に小さい桃が入った生菓子「ひとつぶ桃」などが人気。
 また、有名なシェフのブランド・スイーツも人気がある。クイーン・アリスの石鍋裕シェフの生菓子とか、キハチの焼き菓子、ピエール・マルコリーニのアイスクリームなども売れている。アイスクリームはちゃんと保冷パックをして、1〜2時間のフライトでも大丈夫。
 この夏オススメなのが、OLとウチの会社で企画開発した「空スイーツ」。これは会社帰りのOLに空港まで来てもらって開発した。今回は第2弾として「ぷるぷるハイ美スカスゼリー」と「ずんだ餅mini」を2ヶ月限定で販売している。
 ちなみに「ぷるぷるハイ美スカスゼリー」はガトー・ド・ボワイヤージュが、「ずんだ餅mini」は仙台の「萩の月」で有名な菓匠三全が作っている。本当に美味しいのでぜひ食べてみて欲しい。

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放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
8'44" Pepino Beach Marcos Valle Verse POCJ-2564
18'03" Giant Steps Clementine CBS/SONY CSCS 5026
22'58" Mambo Italiano Rosemary Clooney CBS/SONY 32DP 643
44'55" Almost Like Being In Love Eydie Gorme CBS/SONY 32DP 696


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