■ ファン重視で増収策 ■

 脱・売り手主導

 入場券 コンビニ販売へ

 購入場所が限定されていた前売り入場券は、来年から一気に全国へ販売網が広がる。球団はコンビニエンスストアなどで買える外部委託の検討を進め、詰めの段階に入った。遠方のファンが券を手軽に入手できるシステムが整いつつある。

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前売り券を購入するために、広島市民球場窓口に並ぶファンの列(3月1日)

巨人戦 昼に開催

 「コンビニで買えないのはカープだけ。購入しやすくしてほしい」。切実な声は、以前から上がっていた。球場やグッズショップなどに足を運ばなければならず、ホームページ予約は代金振り込みに手間や時間がかかる。今までの体制は「買い手」のファンに不便を強いる「売り手主導」の側面があった。

 他球団は、一九九〇年代後半から一斉にコンビニ販売を導入した。しかし、カープは外部委託の手数料がかかることもあり二の足を踏んでいた。JRの駅や新聞販売所など徐々に販売網は広げたが、選択肢の少なさと立ち遅れは否めなかった。

 勝場通泰・営業本部副本部長は「よそと比べ、遅かったところはある。利便性を高め、よりファンの要望に近い販売を目指す」と強調する。その変化を「買い手」側も歓迎する。市民団体「カープと市民球場はみんなの宝物チーム」の倉本須美子代表は「ファンの声に耳を傾けてくれる姿勢を感じる」と期待をかけている。

 興行面でも、ファンを意識した変化がある。十三年ぶりに、巨人戦のデーゲームを開催しようと、日程調整に入った。数試合になる見込みだ。

 今季のデーゲームの平均観客数はナイターより約二千人多く、人気の巨人戦ならば、さらに動員が見込める。夜だと日帰りができなかった地域の観客や、日曜の場合は子どもたちが来場しやすくなる。

 ナイターを優先してきた理由は、一試合一億円といわれる放映権料を出すテレビ局への配慮だった。だが、広島地区の今年の巨人戦視聴率は平均13・2%(ビデオリサーチ調べ)と、この十年間で最高だった九六年の半分以下。頼みの放映権料が、従来の額を維持できるか不透明なことも背景にある。

初優勝から黒字

 カープは初優勝の七五年以来、黒字経営を続けてきた。昨年は主催七十試合で六十五億円の収入があり、八千万円の黒字を計上した。しかし来季は交流戦開始で約五億円の減収が見込まれ、球団はファン重視という原点に回帰。増収策として球団で初めて選手のヘルメットやユニホームに広告を出す計画もある。

 「雨天中止時の払い戻しが不便」「もっと割引や特典制度を」など「買い手」の要望はまだ多い。広島商工会議所の宇田誠会頭は「財務状況を詳しく開示して、なるほど、よくやっているなと市民に思わせてくれることも必要」と注文をつける。一枚でも多く売り、一人でも多く来場してもらうための努力は、始まったばかりだ。

2004.12.8


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