2004年11月号/かわくぼ香織 先生

かわくぼ香織先生は旭凛太郎先生からのご紹介です

 

 今月は旭凛太郎先生よりご紹介のかわくぼ香織先生を訪問致しました。
現在、講談社の月刊少年マガジン増刊号の「グレートマガジン」で長崎県の高校バレー部の青春群像を描いた『かっちぇる♪』を連載中。
恋愛は男女がはっきりと考え方に差がつくが、悩みとか、友達関係はどっちも同じような壁にぶつかるのでは…と恋愛を中心とした少女漫画よりも、人間描写にスポットを当てた少年漫画に創作の場をもとめて今後も描き続けたいと語る。

     
誕生日
   5月24日
血液型

   A型
最近ハマっている事
   いかに食べ頃のアボカドを見分けることができるか
最近お気に入り或いは気になるマンガや作家
   筧一成先生
愛用画材
   Gペン、スクールペン


ご出身地はどちらでしょうか?

 長崎市ですが、父の仕事の関係で佐賀県とか九州各県を点々として生活していました。

小さい頃から漫画が好きだったのですか?

 読むのも描くのも好きでした。でも兄の影響でアニメのガンダムの大ファンだったんですよ。だから漫画も少女漫画を読むよりも、少年漫画を読んだりしていましたね。

漫画家を志したのは?

 高校時代ほとんどの友達はクラブ活動で自分自身をアピールしていましたが、私が得意なものは絵を描くことしかなかったので、友達と同人誌活動をしていました。その時も男性漫画を読んでいたのですが、一番影響を受けたのは大友克洋先生、ヤングマガジンで描いていた奥浩哉先生の作品でした。漫画で頭を殴られた感じです。ファンレターも出したりしていたのですが、その頃から“私の将来は漫画家しかない”と思い込んでいました。

高校出てすぐに漫画家の道へ?

 やはり自分の力がどの程度あるのかが不安でしたから、出版社に投稿していたんです。少女漫画雑誌に投稿したら、“君の作品は少女漫画ではないね”と言われたので、今度は少年漫画誌に投稿したら、“少年漫画向きではないよ”と言われてしまったんです。どっちの方向にいったらいいんだろうと、壁にぶつかった感じだったんです。でもこのままではどうしようもないので、取りあえず少年漫画に狙いをさだめてやってみようかと決心したんです。でも二十才まで頑張ってみたんですが、漫画賞にも引っ掛らない程の実力なので、技術的に足りないことが解って思い切って上京したんです。

ご両親は理解してくれましたか?

 勿論大反対。特に父は猛反対です。大喧嘩しました。でも漫画家になりたいという一心で、東京に行けばアシスタントの仕事はあり生活には困らないだろうという軽い気持ちでしたね。幸いなことに細野不二彦先生の所でアシスタントを募集していましたので、いちかばちか応募したら運良く採用されたのです。ほっとしました。

デビューは?

 細野先生の所に約一年ちょっとお世話になりました。その後、自作漫画を描きたくてフリーターになって投稿しましたが、エニックスの某雑誌でデビューさせていただきました。その後、「月刊少年マガジン」に持ち込んだ作品が、チャレンジ大賞の一番下の賞をもらって、担当者もついたんです。24歳の時に「月刊少年マガジン増刊号」で読み切りの作品が一回掲載され、26歳か27歳の時に、今描いている『かっちぇる♪』の連載をもらえたのです。もう三年半描いて、単行本も四冊出ました。

細野先生からのアドバイスは?

 “とにかく物語を作って描きなさい”ということでした。それと、“こんな作品はつまらないなんて思わずに、描いたら人に見せることが大切”とも言われたのが印象的です。表現する頭があるんだから、まず形にしないと始まらないと言うことですよね。人の意見を聞いてまた描く、この繰り返しということがプロになってやっと理解出来ました。

プロになっての感想は?

 まだ7年の経験で新人です。でも最近になって“やっと漫画家になったんだなぁ”という実感が出てきました。というのは今までは描ける事の楽しい世界に浸っていたんですが、今は苦しいけれどやりがいがあると変化してきたんです。つまらないと思う事も紙に表現できるし、発表できるので有り難い気持ち一杯です私より若い読者に私の作品をたくさん読んでもらいたいという気持ちが強く出てきているんです。作品内容も色々なキャラクターが登場する人間関係を主として描いているし、これからも描き続けたいんです。だからやはり私は、女性誌よりも男性誌に向いているんだなぁと思っています。

作品作りで苦労されている所は?

 今連載している『かっちぇる♪』は、主人公が落ち込みやすく、マイナス思考なので、今回はどのようにそれを乗り越えさせようかなぁという所かもしれません。また脇役をからませる内容が多いので、それをどのように感情移入させて描けるかもポイントの一つかもしれませんね。

作品に登場するキャラクターはどのようにして生まれるのですか?

 まだ経験が浅いので楽しかった高校時代を思い浮かべたり、フリーターで仕事していた時に、漫画に関係ない人達に数多く接しました。色々なタイプの人がいるんですよね。また最近では電車に乗った時は勉強になるんです。やはりいろいろな人がいるんで、嫌な人だなぁと思っても我慢して観察しています。でもさて漫画に登場させるとなると、キャラクターづくりは難しいですよね。

今後どのような漫画を描きたいですか?

 私は恋愛漫画を描きたいと思っていませんから、目指すは少年漫画誌ですね。少年漫画は幅広く表現できるので、色々冒険出来ます。特に狙っているのは「月刊少年マガジン」です。あっ「アフタヌーン」もいいですよね。でも私の作品は、たとえ掲載されてもすぐに忘れてしまいそうな内容なので、もう少しインパクトの強い作品にしなくてはだめだなぁと思っています。

最後に漫画家を目指す皆さんに一言アドバイスを!

 深呼吸することを忘れずにして下さい。

ありがとうございました。お友達の漫画家さんをご紹介下さい。

 「月刊少年マガジン」(講談社)『旬味彩の匠』を連載している高倉みどり先生をご紹介致します。