B’zプロダクション、悪質所得隠し発覚
2年間で8億4000万円申告漏れ

B’z(ビーズ)稲葉浩志さん  人気ロックデュオ「B’z」(ビーズ)のマネジメント会社「ビー・ユー・エム」(東京都港区)がコンサートで架空経費を計上するなどし、悪質な所得隠しをしたとして、東京国税局の強制調査(査察)を受け、約8億4000万円の所得隠しを指摘されたことが25日、分かった。同社は修正申告に応じており、重加算税を含めた追徴額は約4億円に上るとみられる。

 「ビー・ユー・エム」は、B’zのほか、倉木麻衣さん、TUBEなどの人気アーティストを多数抱える「ビーイング」グループの一社。平成2年の設立で、B’zのギタリスト・松本孝弘さん(40)とともに、音楽プロデューサーで同グループをつくり上げた長戸大幸さんが代表を務め、ボーカルの稲葉浩志さん(36)=写真=も取締役になっている。

 関係者によると、同社は、B’zのコンサートに絡み、実際には掛からなかった器材費や人件費などを複数のグループ会社に支払ったように偽装。架空経費を計上する手口で11年9月までの2年間の所得を隠したという。隠した所得は、グループ会社の運転資金に回され、B’z以外のアーティストの活動費などに使われたとみられる。

 同国税局はグループぐるみの所得隠しとみて今年初め、査察に着手。査察を受けた場合、約7割が脱税容疑で告発されるが、調査の結果、同社が隠した所得は受け取ったグループ会社の収益としてそれぞれ申告され、代わりに納税された形になっていることが判明。このため、脱税の意図はなかったと判断、刑事告発を見送ったもようだ。

 関係者によると、B’zのコンサートチケットは常に即日完売。今回、発覚した不正な経理処理が集中した11年のツアーでは、65万人以上(7カ所)の観客を動員するなど人気は高く、12年の長者番付・歌手部門で、作詞担当の稲葉さんの年収は推定7億7700万円で1位、作曲担当の松本さんの年収は7億6800万円で2位だった。

 B’zは昭和63年のデビュー以来、ヒットを連発。昨年は、木村拓哉さん主演で大ヒットしたTBS系ドラマ「ビューティフルライフ」の主題歌「今夜月の見える丘に」が130万枚の大ヒット。平成2年の「太陽のKomachi Angel」から続く連続初登場1位記録は27曲まで更新中だ。

 また、アルバムも10年のベストアルバム「Pleasure」「Treasure」が計1000万枚を突破した。現在は、テレビ朝日系「世界水泳福岡2001」の大会公式テーマソングとして「ultra soul」がヒット中。

 「ビーイング」の話 「国税局と見解の相違があり、指摘通り修正申告を済ませた。グループ内部の取引で使途不明金という事実は全くない」