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社会
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住友大阪セメントが利用打ち切り
「05年度限り」樽見鉄道ピンチ
収入の4割、消える「ドル箱」
住友大阪セメント(本社東京)が、岐阜県本巣市の岐阜工場で製造するセメントの鉄道輸送を2005年度末で打ち切ることを、輸送を担う第3セクター樽見鉄道(本社本巣市)の沿線首長らに申し入れていることが分かった。打ち切りになれば、セメント輸送が営業収入の約4割を占める同鉄道への影響は必至。同地域は名鉄揖斐線の撤退問題もあり、住民らの足の確保が危ぶまれる。
申し入れは、沿線の5市町村などでつくる連絡協議会長の大垣市長に18日に行った。同社によると、02年度の岐阜工場の出荷のうち鉄道輸送は約13%で、残りはトラック輸送。鉄道輸送はトラックに比べ割高で「競争力の維持には、物流体制の見直しが必要」と説明する。
樽見鉄道の貨物輸送は1990年度の約54万トンが、02年度には約17万トンに減少。旅客輸送の赤字を補ってきた貨物の落ち込みが響き、02年度の決算は過去最悪の約1億2400万円の経常赤字となった。同社を含め樽見鉄道の大株主の企業は支援に応じる環境になく、存続の有無は自治体の支援いかんとなっている。
高校生の通学などを考慮し、沿線自治体は03年度、02年度分の赤字の半額を補てん。無利子で銀行などの債務を肩代わりする自治体も。
合併で今月1日に発足した本巣市は、新市建設計画の交通施策に同鉄道を位置づけているが、打ち切りの方針により、鉄道の存続がいっそう厳しい状況になってきた。
樽見鉄道側は「08年度までは出荷の予定と聞いていた。話を聞いたばかりで、今後のことはまだ考えられない」と話している。
名鉄は、揖斐線など同県内3線の04年度末での撤退を沿線自治体に伝えている。
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