2001年12月18日(火) 東奥日報 特集




■ 再燃必至の空港民営化問題/3大バカ事業発言に激怒 

 政府の特殊法人、認可法人の整理合理化計画をめぐり、与党三党の調整が最後までもつれたのは、関西空港二期工事の成否に直結する、新東京国際空港公団(成田空港)と関西国際空港株式会社の民営化問題が原因だった。

 中部国際空港を加えた三空港を一体化して民営化という国土交通省案に道筋を付けようという公明、保守両党に対し、党内に根強い反対を抱える自民党が、「言質」をとられまいと必死に防戦。経営形態について二○○二年中に結論を得ることでようやく決着したが、対立再燃は確実で、調整は容易ではない。

 「三大バカ事業って言われたそうですね」。十七日午後六時すぎ、国会内で始まった整理合理化計画に関する与党協議の冒頭、和歌山選出で運輸相を経験し関西空港二期工事推進派の代表格の二階俊博保守党幹事長が、反対派の太田誠一自民党行革推進本部長に強烈な先制パンチを浴びせた。

 本四架橋、東京湾横断道(アクアライン)と並び、二期工事を「二十世紀末の三大バカ事業」と先月末の講演でこき下ろした太田氏を見詰める二階氏の目は、冗談めかした言葉とは裏腹に笑っていなかった。

 協議では当初、自民党が石原伸晃行革担当相、扇千景国土交通相、太田氏の三者合意として「空港行政を厳密に検討した上、民営化に向けた経営形態のあり方について、二○○三年度予算までに結論を得る」とする文書を提示。

 これでは二期工事ができないと怒った二階氏や兵庫選出の公明党の冬柴鉄三幹事長が扇国交相が合意した事実はないと差し戻しを要求し、国交省案を指す「上下分離案」が三党の合意文書に盛り込まれることに。ただ「軸に」との表現は自民党側が了承せず、「含め」で各党持ち帰りとなった。

 しかし、午後九時前の再開協議で保守党が持ち出した文書には「軸に」が復活、「二期工事実施」との文言も入り、再び巻き返しに出た。山崎拓自民党幹事長は「(国交省の)上下分離案の扱いは『軸に』では、党内が持たない。『含め』に戻してほしい」と頭を下げ再考を要請。

 自民党内に賛否両論がある事情を知っているだけに二階氏も引き下がらざるを得なかったが、「上下分離案はあくまで選択肢の一つ」(自民党議員)「上下分離案が軸というのが心だ」(冬柴氏)と解釈は真っ二つに割れたままだ。


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