- 東洋の鋳造貨幣の誕生と発展
東洋の貨幣は古代中国に始まります。不揃いな外見を持つ貨幣は、しだいに円形に統一され、規格化されてゆきました。
- 日本の貨幣の誕生
中国の貨幣を手本として、日本で初めて貨幣が誕生したのは奈良時代のことです。
- 東アジア諸国の貨幣の誕生
日本のみならず、東アジア諸国でも中国の貨幣を手本に貨幣が発行されました。
- 中世の日本の貨幣
皇朝十二銭発行後、日本での貨幣の鋳造は中止され、中世期には主に中国から輸入した貨幣(渡来銭)を流通させていました。明銭「永楽通寳」(A.D.1408)
- 近世の日本の貨幣
混乱した貨幣市場の統一に成功したのは、江戸幕府でした。
- 「寛永通寳」の発行(A.D.1636)
約240年間に発行された寛永通寳には、幕府鋳造のものと各藩が鋳造したもの、あるいは個人が請負い鋳造したものなどがあり、鋳造期や鋳造地ごとに変化する銭文などを分類すると多種にわたります。方泉處では、過去の文献資料に照らし、寛文以降に鋳造された寛永通寳を母銭・通用銭、計約1200点を、表裏が見られる独自の展示方法によって展示しています。
「寛永通寳」一文銭・「寛永通寳」四文銭
- 金銀貨の発行
江戸幕府は、金銀銭の三貨体制を確立し、それぞれの公定レートを定めました。銀貨は使用の度に量る秤量貨幣でした。方泉處では当時の両替商を再現、展示しています。
「天保一分銀」・「佐渡小判金」
- 「天保通寳」の発行
天保通寳は百文銭ですが、一文銭7〜8枚を鋳潰してつくることが可能なため、その差益を目的にさかんに密鋳が行われました。そのため、幕府が公式発行した枚数よりもはるかに多くの天保通寳が流通しました。現在分類されているもの約400点を展示しています。
- 藩札・地方貨
近世期には、幕府が発行したもの以外にも、各藩・各地方で特殊な貨幣が発行されています。中でも藩札の起源は古く、文献では1630年に福山藩がすでに札を発行していたことがみられます。藩札は以後、各藩で大量に発行されました。また、鋳造貨幣も各地で造られ、特に幕末には個性的な形のものがみられます。
「秋田鐔銭」・「筑前通寳」
「平戸藩札」・「館藩札」
- 絵銭
絵銭は貨幣ではありません。銭の形におめでたい図像などをとりいれ、信仰の対象や子どもの遊び道具などになりました。
「十二支・子」・「打出大黒背恵比寿」
- 近代幣制の確立
- その他のコーナー
- 北海道ゆかりの人物と古銭
北海道と縁の深い近世の探検家近藤重蔵と松浦武四郎は、古銭研究家でもありました。彼らの代表的な著作などを展示しています。また、「箱館通寳」や藩札などの北海道でつくられた貨幣を集め、地元ならではの展示を行っています。
- 変形貨幣コーナー
世界最大のヤップ島の石貨や、日本から輸出された銀や銅をもとにオランダが発行したVOCコインなど、諸国で発行した変った形のコインを展示しています。
- 体験コーナー
千両箱や銭箱に触れることのできる体験コーナーです。近世期の一両小判は一文銭4.000枚でした。本物の千両箱や銭箱に触れ、その重さを実感してみて下さい。