デジタル庁、「兼業・在宅OK」で民間人採用のわけ 平井大臣が語る「官民連合軍」の可能性と課題

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平井卓也大臣はデジタル庁について「スタートアップの手法を取り入れた採用活動を行う」と語る(写真は2020年9月に撮影、撮影:梅谷秀司)
2021年9月に発足予定のデジタル庁(仮称)。国や自治体、民間企業が抱えるデジタル化の課題を、根本的かつスピーディーに解決するための新組織だ。
デジタル庁発足の準備を行うのは、内閣官房に置かれた情報通信技術総合戦略室。同室は12月21日、先行して実施する各種プロジェクトに参画する民間人材の募集要項を公開した。事業領域ごとに12ポジション、合計30人の採用枠を用意しており、応募期間は2021年1月4日~22日となっている。複数回の面接選考などを経て2021年4月に正式採用する。
今回の採用も含め、トータルで100人程度の民間人を採用する予定だ。各省庁からの出向者を合わせ、デジタル庁は500人程度の組織規模とする。これだけ大規模な民間人採用を行うのは政府機関で初めての試みだ。
民間人採用の狙いや今後のデジタル庁の組織づくりについて、平井卓也・デジタル改革担当大臣に聞いた。

スタートアップの手法を採用

――12月21日に公開された先行的な採用の募集要項では、採用予定職種をかなり細かく示されていますね。

ジョブディスクリプション(職務記述書)をしっかり出さないと、組織の目的がふわっとしてしまう。たくさんの人を雇って、余らせることができるような状況ではない。最初から確かなスキルと目的意識を持って参画してくれる人を求める。

ジョブディスクリプションもそうだが、組織の目的に合致した働きをしてもらえるかも重要。1人ひとり、ちゃんと話し合ってから入っていただこうと思っている。

――各技術領域の「エンジニア」に加え、「プロジェクトマネジャー」や「リードリクルーター」といった人材も募集しています。

今回は12ポジションで30人ということになっているが、プロジェクトマネジャーやリードリクルーターは9月のデジタル庁発足に向けて組織づくりや採用の中心を担う、非常に重要なポジションだ。まさにリクルートがすべてだと思っている。

これまでの役所の採用は公務員試験を受けてもらってという形だったので、今回のような民間人採用は政府機関としてまったく初めてのやり方になる。デジタル庁は自らがスタートアップだと標榜しているので、民間のスタートアップが当たり前に行っている手法(リードリクルーターを置いたり、ジョブディスクリプションを細かく開示したりする採用手法)を取り入れた。

募集に使っている採用プラットフォームもHERP(ハープ)というスタートアップが運営しているものだ。スタートアップ同士で親和性が高いと思っている。

HERPは2017年設立。スクラム採用(社員主導型の採用)を推進したい経営者や人事責任者向けの採用プラットフォーム「HERP Hire」を運営。IT系企業が利用する20以上の求人媒体からの応募情報の自動連携、Slack(スラック)など社内ツールとの連携で現場メンバーへ即時に情報共有を行うことができ、社員が積極的に採用に参画できる環境づくりをサポートしている。
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