(旧)再導入のためのIUCN/SSC
ガイドライン

以下は,IUCN/SSC(国際自然保護連合/種の保存委員会)の再導入専門家グループ(RSG:Re-introduction Specialist Group)による野生集団の再確立(野生復帰)を目的とした再導入のためのガイドライン(IUCN/SSC Guidelines For Re-Introductions)の翻訳です.

<*2007年1月現在,原文はhttp://www.iucnsscrsg.org/downloads.htmlから英語,フランス語,日本語(本ページ),韓国語にアクセスできます>

保全を目的とした淡水魚の放流を考える場合に,参考にしていただければ幸いです.  

翻訳はIUCN/SSCの許可の下に掲載しています.これはあくまでも私訳ですので,日本語としてのこなれが悪く,誤訳等に関しても責任を負うことはできません.上記の元サイトを参照してください.誤訳の指摘や適切な訳の提案を歓迎いたします.なお,よりこなれた抄訳が平田剛士(1999)「エイリアン・スピーシーズ -在来生態系を脅かす移入種たち-」(緑風出版,ISBN4-8461-9914-2)にあります.本翻訳はできるだけ原文に忠実な訳(対訳)を目指しています.

ツシマヤマネコPVA 実行委員会(2006)最終報告書「ツシマヤマネコ保全計画づくり国際ワークショップ」のp.99-106により優れた翻訳が掲載されています.(→PDF) <2007.11記→リンク切れ確認2010.3.24>

<注>2005/9/15に大幅改訂を行いました.かなりの誤訳がありました(汗;) まだあるかもしれません.ご指摘歓迎.

2007/2/1 日本チョウ類保全協会の中村氏にコメントをいただきました.感謝.

無断転用などはお断りします.再配布等については事前にご相談ください.

The copyright of this title remains with IUCN which disclaims all errors or omissions in the translation from the original English into Japanese.

関連サイト:日本魚類学会「生物多様性の保全をめざした魚類の放流ガイドライン」(2005/4/6)

再導入のためのIUCN/SSC ガイドライン

IUCN/SSC Guidelines For Re-Introductions

SSC再導入専門家グループ

第41回IUCN会議(グランド,スイス,1995年5月)で承認

渡辺勝敏訳

目次

はじめに/背景/1. 用語の定義/2. 再導入のねらいと目標/3. 総合的なアプローチ/4. プロジェクトの慈善活動/5. 計画,準備およびリリースの段階/6. リリース後の活動/脚注/訳注

はじめに

このガイドラインは国際自然保護連合(IUCN)の種の保存委員会(Species Survival Commission)の再導入専門家グループ(Re-introduction Specialist Group)(註1)で立案された.これは,世界中で再導入のプロジェクトが増加し,その結果,再導入re-introductionが,有害な副作用をもたらすことなく,その目的である保全上の成果を確実に達成するのを助けるために,専門的なガイドラインが必要とされてきているためである.IUCNは1987年に「生きている生物の移殖Translocation of Living Organismsに関する見解」を作成しているが,再導入の実践に伴うさまざまな要素を包括的にカバーするために,より詳しいガイドラインが必要だと考えられてきた.

これらのガイドラインは,再導入プログラムに便利な,実施手順のガイドとして用いられることを意図するものであり,固定的な実施規定を示すものではない.多くの点は野生種を移動させることよりも,飼育繁殖個体を用いた再導入に関連するものである.その他は特に,創始個体数が限られる,全世界的に絶滅が危惧される種に関するものである.再導入計画案は,計画の功罪をそれぞれごとに十分に検討すべきである.再導入は常にたいへん時間がかかり,複雑で,費用のかかる行為であることを認識すべきである.

スポーツあるいは商業目的での短期間の種の再導入や移殖(存続可能な個体群の確立を意図しないもの)は,このガイドラインの扱うものとは異なる問題であり,その視野の外にある.釣りやハンティングがこれに当たる.

このガイドラインは植物や動物の分類群すべてを対象に書かれており,そのため一般的なものである.これは定期的に改訂される予定である.特定の動植物グループの再導入のためのハンドブックを将来用意する予定である.

背景

国際自然保護連合・種の保存委員会の再導入専門家グループは,再導入・移殖事業の増加に伴い,設立された.このグループの優先事項は,他のIUCNの委員会と協議して,IUCNの「生きた生物の移殖に関する見解」(1987)をアップデートすることであった.

このガイドラインが,生物多様性の保全と自然資源の持続的な管理に関連するIUCNのポリシーのより幅広い文脈に組み入れられることが重要である.IUCNや他の保全団体の環境保全と管理の基本理念は,「新世界保全戦略Caring for the Earth」や「世界生物多様性保全戦略Global Biodiversity Strategy」のような重要な文書に述べられている.これらの文書は,持続可能な自然資源の保全,人間生活の全体的な質の向上,そして生態系の保全(復元)へのコミュニティの関与や参画によるアプローチに必要な幅広いテーマをカバーしている.1つの動植物種の再導入は,一般的に,その種だけが欠けてしまっている場合の生態系の復元restorationの特別な例といえる.動植物種のセットを完全に復元することはこれまでのところほとんど試みられていない.

単一の動植物種の復元は世界中で頻繁に行われるようになってきた.いくつかの例では成功しているが,多くは失敗している.このような生態学的管理はますます一般的になりつつあるので,再導入が正当化され,かつできるだけ成功するよう,また保全の分野において成功・不成功を先例から学ぶことができるように,種の保存委員会の再導入専門家グループはガイドラインの策定を優先事項とした.このガイドラインは包括的な事例調査や幅広い分野にわたる協議に基づくものであり,種や条件の多様さにかかわらず,再導入の概念,計画,実行可能性や実施方法がこのガイドラインによってより厳密なものとなることが期待される.

したがって,再導入の計画や承認,実施において直接的で現実的な助けとなるようなガイドラインを作成することが優先された.そのため,ガイドラインの主な対象は,行政機関の意思決定者というよりは,むしろ実務者(通常,管理者や科学者)である.行政機関の意思決定者のためのガイドラインは,必然的に法律や政策的な問題についてより深く考慮したものとなるであろう.

1.用語の定義

「再導入re-introduction」:ある種(註2)がもともと生息していた地域であったが,すでにそれが絶滅(註3)してしまった場所に,その種を定着させるよう試みること(「再定着re-establishment」は再導入と同義であるが,再導入が成功していることも含意する).

「移殖translocation」:野生の個体や個体群を分布域内のある場所から別の場所に,意図的に,人為的に仲介して移動させること.

「補強(強化)re-inforcement/supplementation」:現存個体群に同種の個体を加えること.

「保全的導入conservation/benign introductions」:保全の目的で,記録のある分布域外の適切な生息場所・生態地理学的地域の中に,ある種を定着させようとすること.これはその種のもともとの分布域の中に生息可能地が残されていないときだけに用いることができる保全策である.

2.再導入のねらいと目標

a.ねらい:

再導入の基本的なねらいは,野外で全域的あるいは地域的に絶滅に至った種,亜種あるいは品種の個体群を,野外で存続可能な自立個体群として定着させることである.再導入はその種のもともとの自然生息地・分布範囲の中で行うべきであり,最低限必要な長期的管理が求められる.

b.目標:

再導入の目標には次のことが含まれるだろう:種の長期的な存続性を高める;生態系における(生態学的あるいは文化的)キーストーン種を再定着させる;本来の生物多様性を維持あるいは復元する;地域・国家の経済に対して長期的利益を提供する;保全意識を高める;あるいは以上の組み合わせ.

3.総合的なアプローチ

再導入には,さまざまなバックグランドをもつ人間を含むチームからなる総合的(多分野的)なアプローチが必要とされる.それには,行政職員に加えて,全般的な専門技術をカバーするように,行政の自然資源管理機関,非政府機関(NGO),助成機関,大学,動物医療機関,動物園(あるいは民間の動物繁殖家),そして植物園からの人員が含まれる.チームリーダーは,さまざまな母体の間の調整に責任を持たなければならず,プロジェクトに関する広報や社会教育に関して準備・対応しなければならない.

4.プロジェクトの事前活動

4a.生物学的な事前活動

(i) 実現可能性に関する研究と関連事項の事前調査

・再導入される個体の分類学的位置づけに関する調査を行う必要がある.適当な個体数が利用できない場合を除いて,再導入個体は絶滅したものと同じ亜種または品種であることが望ましい.個体の分類的位置づけに疑いがある場合,分子遺伝学的な調査とともに,再導入地域からの個体の消失や結末に関する歴史的情報の調査を実施するべきである.また,その分類群や近縁群の個体群の中あるいは間の遺伝的変異に関する研究も役に立つ.野外個体群が長らく絶滅していた場合には特に注意が必要である.

・その種が必須とする条件を明らかにするために,(もし存在していれば)野外個体群の現状や生物学的特性に関する詳細な研究を行うべきである.それには動物の場合,以下のようなものが含まれる:生息場所の選好性,種内変異や地域的な生態条件への適応,社会行動,グループ構成,活動域の広さ,隠れ家や餌の要求,採餌や摂餌行動,捕食者や病気.また植物の場合,生物的・非生物的生息場所要求,分散メカニズム,繁殖様式,共生関係(例えば菌根や受粉媒介者),害虫や病気が含まれる.総じて,その種の自然誌に関する確かな知識は,再導入計画全体にとって非常に重要である.

・当該種の欠落によってできた空白を埋めている種がある場合,それを明らかにしなければならない.再導入される種が生態系に与えると予測される影響を理解することは,個体群の再導入を成功させる上で重要である.

・年ごとに放すべき個体の最適な数や構成,そして存続可能な個体群を確立させるために必要な年数を決定するために,リリース

(訳註1)個体群の動態をさまざまな条件設定のもとでモデル化すべきである.

・個体群・生息場所存続可能性分析(Population and Habitat Viability Analysis)は,重要な環境・個体群変数を特定し,それらの潜在的な相互作用を調べるのに役に立ち,長期的な個体群管理の指針となるだろう.

(ii) 以前になされた再導入に関する調査

・再導入の手順を計画する前およびその過程で,以前になされた同種あるいは近縁種の再導入事例に関して精査し,また関連する専門技術をもつ人たちと広い範囲にわたって連絡をとるべきである.

(iii) リリースする場所とリリースのタイプの選択

・リリース場所はその種の歴史的な(もともとの)分布域内とすべきである.補強(強化)の初期においては,残存する野生個体はほとんどいないはずである.再導入においては,病気の拡散やその生物の社会の混乱,外来遺伝子の移入を防ぐために,残存個体群は存在してはならない.状況によっては,再導入や補強は囲いなどで限定された地域で行うべきだろう.その場合でも,その種の本来の生息場所・分布域内で行うべきである.

・「保全的導入」は,もとの生息地や分布域内に再導入できる可能性がないか,その種の保全上重要な貢献がなされる場合に限って,最後の手段としてのみ実施されるべきものである.

・再導入場所は,(公式に,あるいはそうでなくても)長期的に確実に保護されるべきである.

(iv) 再導入場所の評価

・生息適所が利用可能かどうか:再導入はその種の生息場所や景観の要求性が満たされ,将来にわたって維持されると考えられる場合にのみ実施されるべきである.絶滅後に自然生息地が変化している可能性も考えなければならない.同様に,絶滅後の法的・政治的あるいは文化的な環境の変化についても確かめ,制限要因となる可能性を評価する必要がある.再導入場所の面積は,再導入個体群の成長を維持し,長期的に存続可能な(自己持続的な)個体群を保持することができる十分な環境収容量を有する必要がある.

・以前の減少原因の特定とその除去あるいは十分なレベルへの減少:減少要因としては,病気,過剰狩猟,過剰採集,汚染,毒による汚染,移入種との競争あるいはそれによる捕食,生息場所の減少,以前の調査や管理計画の負の影響,家畜との競争が含まれ,それらは季節的なものかも知れない.人間活動によりリリース場所が本質的に劣化している場所では,生息場所復元プログラムを再導入に先立ってとり行わなければならない.

(v) リリースに適したストックの利用可能性

・ソース(提供源)となる動物は野生個体群起源のものが望ましい.移殖のための創始ストック(訳註2)として野生個体群を選ぶことができる場合,ソース個体群は理想的には元の在来個体群と遺伝的に近い関係があり,元の局所的個体群と生態的形質(形態,生理,行動,生息場所の選好性)が似ているものを選ぶべきである.

・再導入のために個体を取り除くことにより,飼育ストック群や野外のソース個体群の存続を危険にさらしてはならない.ストックは,プロジェクトの手順に示された内容に沿って,一定の予測可能な基準のもとで利用できることが保証されなければならない.

・ドナー(提供源)個体群における移殖の影響を調べ,その影響が無視できることが保証された場合のみ,野生個体群からの個体の除去を行うべきである.

・飼育あるいは人工増殖されたストックを用いる場合には,現代の保全生物学の考えに従って,人口学的,遺伝学的に十分に管理された個体群からの個体を用いるべきである.

・再導入は単に飼育ストックが存在するからという理由で,あるいは単に余剰のストックを処理する方法として実施されてはならない.

・将来的なリリース用ストック(政府間の贈り物を含む)については,元のソースから送り出される前に入念な獣医学的な検査手続きを行うべきである.個体群レベルに影響を与え得る外来性あるいは伝染性の病原体に感染した,または検査結果が陽性であることがわかった動物は,すべて取り除かなければならない.また,残りの未感染あるいは陰性の個体は,再検査までの期間,厳重に隔離されなければならない.再検査をクリアした場合,その動物は移送が可能となる.

・深刻な病気の感染は移動・運搬途中(特に大陸間の移動)にも生じ得るので,最大限注意してこのリスクを最小にしなければならない.

・ストックは,受け入れ国の獣医学専門家により決められたすべての健康チェックを受けなければならず,必要な場合には隔離・検疫のための適切な処置がなされなければならない.

(vi) 飼育ストックのリリース

・哺乳類と鳥類のほとんどの種で,幼若期の個体の経験や学習にその生残は大きく依存している.したがって,飼育環境下における訓練により,野外で生存するために必要な情報を得るための機会を与えなければならず,また,飼育繁殖個体の生残確率は野外のものと同等であるべきである.

・潜在的に危険な飼育繁殖動物(大型肉食獣あるいは霊長類)には人をおそれることをおぼえさせ,地域の住民や家畜に危険を及ぼす可能性をなくすための注意が必要である。

4b.社会経済的および法的な要請

・再導入は,一般に,長期的な資金および行政的なサポートが必要とされる長期的なプロジェクトである.

・再導入プログラムが地域のヒト個体群へ与える影響や,コスト,利益を調べるための社会経済的な研究がなされるべきである.

・提案されたプロジェクトに対する地域住民の姿勢に関して入念に調査することは,特にその種の減少原因が人的要因(過剰狩猟,過剰採集,生息場所の消失や改変)による場合,再導入個体群の長期的な保護を確かなものにするために必要である.再導入プログラムは,地域のコミュニティに十分に理解され,受け入れられ,サポートされなければならない.

・再導入個体群の安全性が人間活動からのリスクにさらされている場合,再導入地域におけるリスクを最小化するような手段が講じられなければならない.もしその手段が不十分である場合,その再導入を取りやめるか,別のリリース地域を探さなければならない.

・再導入や当該種に対するその国の政策について調査すべきである.これには地方自治体,国内,あるいは国際的な法律や規則,新しい方法に関する規定や必要とされる許可をチェックすることが含まれる.

・再導入は,受け入れ国における関連するすべての政府機関の許可等のもとで実施されなければならない.これは特に境界地域や複数の国を含む場合,また再導入個体群が他の行政地区(states, provinces, territories)に広がり得る場合に重要である.

・当該種が人間の生活や財産に潜在的なリスクを与える場合,そのリスクを最小化すべきであり,必要な場合には補償のための適切な方法をとらなければならない.すべての解決法が失敗した場合,リリースした個体の駆除を考えなければならない.回遊・渡り等を行う種の場合,国際的・越境的な手段を講じる必要がある.

5.計画,準備およびリリースの段階

・関連政府機関と土地の所有者の同意,および国内・国際的保全機関との調整を行う.

・プログラムのすべての段階で専門的な技術的アドバイスを得ることのできる総合的なチームを構築する.

・同意の得られたねらいと目標に関連した,短期的および長期的な成功の指標を設定し,プログラム実行期間を予測する.

・プログラムのすべての段階に関する適切な基金を確保する.

・再導入が,科学的に集められたデータにより方法論の検証が可能であるような入念に計画された実験となるために,事前・リリース後のモニタリングプログラムを計画する.個体の生残と同様に,健康状態についてのモニタリングが重要であり,問題が生じている場合には何らかの介入が必要となる場合もある.

・政府間の贈り物を含む,リリースのためのストックに対して,適切な健康・遺伝学的検査を行う.再導入地域における近縁種の健康検査を行う.

・リリース用ストックが野外から得られたものである場合,a) 運搬前にストックが感染・伝染性の病原菌や寄生虫にかかっていないかどうか,また b) ストックが,リリース場所に存在するかもしれない(またソース地域には存在しない)病気の媒介生物(ベクター)に,あるいは免疫を得ていないものにさらされないかどうかについて,十分に確認しなければならない.

・リリース前に,リリース場所の野生ストックや家畜の地域固有あるいは流行性の病気に対するワクチンを投与することが適切であると考えられる.免疫が機能するのに十分な時間を与えるために,これは「準備段階」で実施しなければならない.

・プログラム中のリリースされたストックの健康を確保するため,適切な獣医学的あるいは園芸学的手法をとる.これには,特に創始ストックが遠方から,あるいは国境を越えてリリース場所に運ばれた場合の適切な隔離手続きが含まれる.

・移動期間の個体へのストレスを最小化する方法に特に重点を置いて,ストックをリリース場所への運ぶための輸送計画を策定する.

・リリースの戦略を決定する(リリース場所へのリリース個体群の順化;狩猟や採餌を含む行動的訓練;グループ構成,個体数,リリースのパターンと技術;タイミング).

・適切な介入方法に関する方針の策定(下記).

・長期的なサポートのために保全教育を確立する.長期的プログラムに関係する人員の専門的訓練;マスメディアを通じた,あるいは地域コミュニティーにおける広報等;プログラムへの地域住民参加.

・リリースに関わる動物福祉は,すべての段階を通しての最重要項目である.

6.リリース後の活動

・個体のすべて(あるいは一部)に対してリリース後のモニタリングが必要である.これはきわめて重要なステップであり,直接的(例えば,標識,テレメトリー),あるいは間接的(例えば,足跡,痕跡)な方法を用いるのが適切だろう.

・リリース個体群の人口学的,生態的,行動的研究がなされなければならない.

・個体や個体群の長期的な適応のプロセスに関する研究.

・死亡率の調査.

・必要な場合の介入(例えば,補助的な給餌,獣医学・園芸学的援助).

・必要な場合,プログラムの修正,スケジュールの変更,あるいは中止の決定.

・必要な場合,生息場所の保護や復元.

・教育,マスメディアなどを使った広報活動の継続.

・再導入の技術のコスト-効果や成功・不成功に関する評価.

・科学・一般雑誌での正式な出版.

脚註

1 商用取引において没収された種の処理手続きを決定するためのガイドラインは,IUCNによって別に定められている.

2 この文書を通して,分類単位を「種」と示しているが,明確に定義され得る限り,より低い分類単位(例えば,亜種)でもよい.

3 最後の個体が死亡したことに合理的な疑いがない場合,その分類群は絶滅したとする.

The IUCN/SSC Re-introduction Specialist Group (RSG) は,特定の分類群について扱うほとんどのSSC Specialist Groupsとは対照的に,分類群ではなく分野でまとまったグループであり,幅広い植物や動物種をカバーするものである.RSGは広範囲にわたる国際的なネットワークをもち,再導入計画のデータベースと再導入に関するライブラリをもっている.RSGはニューズレターRE-INTRODUCTION NEWSを年2回発行している.

再導入の実施に関わる方や関心のある方は下記まで連絡を.

Mr. Pritpal S. Soorae

(略:オリジナルページを参照)

訳註

1 releaseに対する全動植物に適した訳語が見つからなかったので,「リリース」という不自然な訳を用いた.「放逐」と訳される場合もあるが,日本語としては不自然であるように思われる.魚の場合には「放流」と言い替えることができる.

2 stockは,繁殖やリリース目的の育養群・個体のグループのことであるが,すべての文脈で適切な訳語が見つからなかったので「ストック」のままとした.