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39歳で「中年呼ばわり」されたとき、『広辞苑 6版』の読者は「辞書でもすでに中年だと言っていることだし」とあきらめがつくかもしれないが、『三省堂国語辞典 第7版』の読者であったなら「私を中年だと呼ぶなんて10年、いや15年も早い!」と抗議したくなるかもしれない。

大型調査で「おじさん」「おばさん」のイメージが浮き彫りに

「おばさん」「おじさん」「中年」とは一体、何歳ぐらいからなら「呼ばれても仕方がないのか?」と、辞書を前に「むなしい探検」に明け暮れていた私のもとにとんでもない調査結果が届いた。これまでの努力(辞書をめくっただけですが……)は何だったのか?

情けなくなるほど「わかりやすく、優れた結果」が『放送研究と調査 2017年12月号』に掲載された「日本語のゆれに関する調査」で報告されていた(満20歳以上の全国男女4000人を対象にした調査員による個別面接調査)。

なんのことはない、これさえ見ておけば「おばさん」「おじさん」「中年」と言われたことが「理不尽だったのか?」「世間相場的には妥当だと甘んじて受け入れたほうがよかったのか」の境界線がくっきり見えてくる。

「報告書」の一部で、いくつかの言葉の「想定年齢」が示されている。「想定年齢」とは、私流に解釈すればこういうことだ。

「平均寿命が60歳のときは40歳の人について初老と言ってもよかったかもしれない。しかし、平均寿命が80歳を超える今なら、初老と言えば、60歳過ぎの人を指す呼び名じゃない?」

こんなふうに多くの人々が「言葉から想定する年齢」が「想定年齢」。論文の記述にもこうある。「人に関する、あることば(梶原注 おばさん、おじさん、中年も含まれている)が、だいたい何歳から何歳までの人のことをさすのかという社会認識は時代によって変動することがある」

要するに、言葉に関する認識は「揺れる(変化する)」。詳細はぜひ『放送研究と調査 2017年12月号』で確認していただきたいが、私が知りたかった「おばさん」「おじさん」「中年」という3つの言葉(ほかに「女子」「男子」「初老」「高齢者」「お年寄り」も興味深い)」が「何歳の人を指すことばか?」という調査から判明した「平均年齢の試算」という部分だけ強引に引き抜いて紹介してしまう。

2つ並べた数字のうち、前の数字が呼ばれ始める平均年齢、後ろの数字が呼ばれなくなる平均年齢だ。

おばさん 44歳7カ月 60歳3カ月
おじさん 44歳10カ月 60歳1カ月
中年 43歳1カ月 56歳4カ月

ざっくり言えば、少なくとも43歳になっていない「若さ」のあなたが「おばさん、おじさん、中年」などと言われたら「猛然と反発したくなる」のは自然なことだ。

一方、45歳を過ぎて、3つのうちいずれかを言われた場合、「まあ、そういう言い方もあるかなあ」ぐらいの「大人の対応」をするほうが賢明かもしれないと言っておこう。

※「梶原しげるの『しゃべりテク』」は隔週木曜更新です。

梶原しげる
 1950年生まれ。早稲田大学卒業後、文化放送のアナウンサーに。92年からフリー。司会業を中心に活躍中。東京成徳大学客員教授(心理学修士)。「日本語検定」審議委員。著書に「すべらない敬語」「まずは『ドジな話』をしなさい」など。

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