謎多き4人組バンド G over、バイラルチャート好調 グルーヴィなサウンドに乗る甘美な歌詞世界が魅力に

 Spotifyの「Daily Viral Songs(Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top Songs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの4月19日付のTOP10は以下の通り。

1位:JO1「Tiger」
2位:Aiobahn feat. KOTOKO「INTERNET YAMERO」
3位:FIFTY FIFTY「Cupid - Twin Ver.」
4位:G over「drive」
5位:紗倉ひびき(CV:ファイルーズあい)、街雄鳴造(CV:石川界人)「お願いマッスル」
6位:Lucky Kilimanjaro「Burning Friday Night」
7位:新しい学校のリーダーズ「オトナブルー」
8位:メイ・スティーブンス「If We Ever Broke Up」
9位:FIFTY FIFTY「Cupid」
10位:女王蜂「回春 feat. 満島ひかり」

 今回は、根強い人気の楽曲が引き続き上位にチャートインしながらも、着実に新陳代謝の兆しが見える結果となった。首位には先週から引き続きJO1「Tiger」が鎮座。彼らの7thシングル『TROPICAL NIGHT』から先行リリースされたこの楽曲は「目標を追いかけた情熱、燃え尽きた青春は美しい。」というシングル全体のコンセプトを体現したような楽曲で、虎(=Tiger)をモチーフとした歌詞も印象的だ。また、韓国の女性4人組グループ FIFTY FIFTYの「Cupid」もオリジナルバージョンとTwinバージョンという、同楽曲のバージョン違いで引き続きトップ10にランクイン。そして、ゲーム「NEEDY GIRL OVERDOSE」から関連楽曲のAiobahn feat. KOTOKO「INTERNET YAMERO」もチャート上位をキープしている。インターネット黎明期の雰囲気を感じさせるこの楽曲。近年のY2Kなトレンドと相まって多くのリスナーの耳に届いているようだ。

 一方、このようなロングヒット楽曲たちに負けじとトップ10圏内にランクアップを果たした楽曲もある。例えば先週11位の女王蜂「回春 feat. 満島ひかり」は、今週10位にランクアップ。先週12位の紗倉ひびき(CV:ファイルーズあい)、街雄鳴造(CV:石川界人)「お願いマッスル」も今週は5位へランクアップを果たしている。お茶の間にもその人気が派生しつつある、新しい学校のリーダーズ「オトナブルー」も一度チャートの順位を落としながらも、今週になり、またしてもトップ10圏内に返り咲いた。そして、特に注目したいのは、今週初登場にして4位にランクインしたG over「drive」。混戦状況のチャートに初登場にも関わらず、トップ5へランクインを果たしたG overは何者なのだろうか。

 G overは、2021年1月に始動したバンドだ。活動開始早々に「AWA」が主催する音楽コンテスト『AWA ROOKIES STAGE』グランプリを受賞するなど、期待度の高まる最注目新人バンドである。Nao(Vo)、Yoki(Gt)、Aoi(Ba)、Ibuki(Dr)というメンバー4人の姿はアーティスト写真やMVでもはっきりと明かされていないために、まだまだ謎多き存在だ。音楽性としては、ブラックミュージックにルーツを持つIbukiの嗜好と、文学的な詞世界を織りなすNaoの変幻自在なスタイルがG overの大きな特徴のひとつだろう。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「音楽シーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる