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金井克子、踊り続けて70年以上。引退も考えたケガや難病との闘い…今では前向きに「挑戦してみよう」

ダンサー、歌手として活躍し、日本で最初の歌って踊る女性グループ「レ・ガールズ」のメンバーとしても知られる金井克子さん。

1973年に発売された『他人の関係』が大ヒットとなり、エロティックな歌詞、クールな表情、指差し確認のような振りが話題に。70年以上踊り続け、コンスタントにライブ公演を開催。

変わらぬ美貌と抜群のプロポーションを誇り元気はつらつとしているが、実は30年ほど前に難病を患い、手術を受け、現在もケアしているという。

2019年の60周年記念ライブ

◆『他人の関係』をカバーした一青窈とコラボで完璧な振り付け披露

2014年、禁断の愛を描いたドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(フジテレビ系)の主題歌として、一青窈さんがカバーした『他人の関係 feat. SOIL&“PIMP”SESSIONS』が話題に。

「(一青)窈ちゃんの歌がすごくいいし、アレンジも当時と変わっていてとても良かったです。あれは、プロデューサーの方が、『他人の関係』の歌詞がおもしろいって、ずっと思っていたんですって。それで、どこかでこれを使えないかなと思って、『昼顔』の担当になったときにピッタリだというので、使わせていただいたって聞きました。

私が昔、この曲を録音したとき、有馬三恵子先生の歌詞がエロいなあって思いましたけど、今歌っていてもすごく良くできている曲だと思います。窈ちゃんがカバーしてくれたときもとてもすてきで好きでした」

2014年には音楽特番『FNSうたの夏まつり』(フジテレビ系)で一青窈さんとのコラボレーションも実現。息の合った振り付けを披露して話題を集めた。

「同じ楽屋でしたし、私の振り付けを窈ちゃんに伝えて一緒にやったの。とても楽しかったですよ。今でも『他人の関係』はステージで必ず歌っています。お客さまにも盛り上がっていただけますしね。この曲があるから今も歌っていられるんだと思いますね」

-『他人の関係』のときにすごく大人っぽく見えたのですが、まだ27歳だったということに驚きました-

「本当に私は若いときから老けていたの。20歳のときにNHKの前で写真を撮っているんですけど、見た目がおばさん。20歳なのにって(笑)」

-昔の歌い手さんや女優さんは実年齢より上に見える方が多かったですね。落ち着いていて-

「今は反対に結構上の人でも、ものすごく若く見えますね。仕草も。かえってしんどいだろうなあと思いますけど(笑)」

-由美かおるさん、奈美悦子さん、原田糸子さん、江美早苗さんとレ・ガールズとしても活動。みなさんそれぞれ個人で活躍されている方が集まっていたのでレベルが高かったですね-

「日本で最初の歌って踊る女性グループでしたね。男性は『ジャニーズ』で。戦後、歌って踊るスターになったのは私が初めてだったんですよ。あとは宝塚歌劇団の人と松竹歌劇団の人しかいなかったの。ミュージカルの人はいましたけどね。

『劇団四季』にいたときの市村(正親)さんはよく観に来てくれて『かっちゃん、いいよ。やっぱり踊らなきゃ』って言ってくれました。いっちゃんは今でも足をピシッとあげて踊っているからすごいですよね」

 

◆レイノー症候群という難病と30年以上闘い続けて…

70年以上踊り続け、ライブ公演も精力的に行ってきた金井さんだが、実は30年以上前から難病を患っていたという。

「レイノー症候群というんですけど、冷気に触れたときとか緊張したときに、手足の血流が一時的に悪化する状態で、末端に血流がいかなくなるんですよ。

今は若い人もなるそうなんですけど、私の頃は手術するのが大変だったんですよね。一応手術をして治してもらってはいるんですけどね。

当時は、信濃町にある慶應(大学病院)と東京医大(※東京医科大学病院)だけに入ってきたという機械があって。メスを入れないで内視鏡でやれる機械が入ってきたというので、私は2人目の患者だったんです」

-踊れなくなるかもしれないという不安はありませんでした?-

「レイノー症候群の症状が出たときが、ちょうど『アニー』というミュージカルのハニガン先生という役をやっていたんですね。

子どもたちはダブルキャストになっていたんですけど、大人はシングルキャストでやることになっていて、ダブルキャスト両方の子どもたちと稽古しなければいけないということで、同じ稽古を2回やらなきゃいけなかったんです。

設定がすごく寒いところの孤児の収容所だから、寒い経験をさせなきゃいけないという演出家の先生の方針で、信州の山小屋に連れて行かれたんですよ。

それでなったわけじゃないんですよ。もともとあったんですけど、そのときに手が冷たくなってきて、おかしいなおかしいなと思いながら信州から帰ってきて、青山劇場で『アニー』の公演が始まった頃から調子が悪くてね。

手が痛くなるんですよ。それで血流が悪くなって血がいかなくなるから指先が白くなるの。手を擦り合わせてやっていたんだけど、おかしいってなって。

手術をするにしても、まだ公演があるからというので、とりあえず、そうなったときにはお湯に手を突っ込んで温めてくださいって言われて。

それで結局、公演の前に点滴をして終わったら点滴をしましょうということで、青山劇場の公演が終わってから、すぐに東京医大で手術をして2カ月間入院していました。その後にまた『アニー』の夏公演があるので、それにも出演したんです」

-手術で痛みや血流の悪さは解消されたのですか-

「いいえ、幸いにしてひどい症状は出ていませんが、今でも血流の悪さはありますよ。手が冷たくなります。だから秋ぐらいになると手袋をしています」

 

◆脊柱管狭窄症で2度の手術も経験、引退も考えた

現在ヒップホップダンスのレッスンにも通い、元気はつらつとしている金井さんだが、脊柱管狭窄症の手術も2度経験し、引退を考えたこともあったという。

「コロナ禍で、ここ3年間は踊りの仕事はなかったですけど、トレーニングなどはしていたので、私は70年踊っているんですよ。70年といったらもうおばあさんじゃないですか(笑)。そうすると故障も出てくるんですよ、当たり前なのね。

でも、トレーニングをしているから、それはそれで大丈夫なんですけれども。バレリーナも、新体操の選手もみんな故障してダメになるんですよね。私は股関節をやったんです」

-転倒するとか何かきっかけはあったのですか?-

「全然。ただ、踊っているときに股関節をよく叩いていました。叩くとちょっと楽になるんですよ。今でもだましだましなんですけどね。

そもそも、股関節の前に私は狭窄(腰部脊柱管狭窄症)をやっているんですよ。それで結局、手術をすることになったんですけど、その手術があまり良くなかったの。先生によっていろいろ違うんですよね。痛くても手術をやらないほうが良かったのにという先生もいるしね。

その手術をした後のリハビリの仕方があまり良くなくて、バランスを保つためにって、リハビリのときに肩からガーッと押さえられて同じところの狭窄を2度やるんですよ。それで2度目の手術をやったの」

-その間お仕事は?-

「やっていました。歌番組の控え室で、自力で立ち上がるのが大変だったりしましたけど、ライブもやっていました。

そういうのも本当は良くないんでしょうけど、だからといって、横になって安静にしていたからどうかといってもね。安静にしすぎていたら筋肉が固まって今度は動けなくなっちゃったりするでしょう?」

-無理をしてでも続けてきたからできるのでしょうね-

「そうですね。私は、股関節は右だけだと思っていたんですね。右を庇うために左に負担がかかるからって先生にレントゲンを撮ってもらったら、『左もですね。両方ダメです』って言われました。両方股関節がダメなんです。痛いときは本当に痛いの」

-それはどうしようもないのですか?-

「今はチタンのボルトを入れるんですよ。それを入れたら変わってくるらしいんですけど、動かせる範囲が少し狭まるみたいです。先生が『ボルトを入れるのはいつでも入れられるから、我慢できるところまで我慢したらどうですか』って言うので、痛み止めと湿布をもらって帰ってくるんです。

それで、痛いときには痛み止めを飲むんですけど、しょっちゅう飲むと内臓に良くないからあまり頻繁には飲まないようにして。今はそんな感じです」

 

◆エアロビクスとヒップホップダンスのレッスンに

この3年間は、コロナ禍でライフワークのライブ公演も難しかったが、集大成のライブを考えているという。

「コロナ禍でもありましたし、股関節のこともあって、去年あたりはもう辞めようかと思ったりもしました。ガツガツやるといってもいかがなものかと自分の中では悩みましたね。

この3年は本当に残念だったわ。私だけではなく飲食店をやっている知り合いも人生全部変わったというくらい。とくに年齢的にこの3年がきつい、もったいないと思ったけど、みなさん一緒ですからしょうがないですよね。

今はもうなるようにしかならないから、いただける仕事、やれる仕事があったらやりたいなあと思っています」

-前向きになったきっかけは?-

「何かすごく夢があってというのではないんですけど、挑戦してみようかなあって。80まで頑張れるかなと思ったのね。

今、私はエアロビクスのレッスンを受けているんですけど、その前に自分一人で1時間ウォーミングアップするんですよ。それからエアロビクスをやる。

それともう一つは、ヒップホップダンスのクラスのレッスンを受けているんですよ。そうしたら習っている子たちがみんな20歳くらいなのね。その中に一人ばあさんがいるの(笑)。ばあさんがいろいろやっているから先生もみんな『よくやれますね。そんなに腰が悪いのに』ってよく言われています(笑)。ごまかしながらやっていますよ」

-ヒップホップというのはすごいですね-

「楽しいですよ。からだを動かすと体調がいいんですよ。これは本当にお年寄りに言いたいんですけど、からだを動かさないと動けなくなるんですよ。『膝が痛くてダメなの』って言っていても、歩いたら歩けるんですよ。だから動かしたほうがいいの」

-ライブの再開は来年からですか-

「そうですね。劇場を押さえなければいけないので。構成演出は別ですので、メニューができてからの稽古は1カ月ですね。1カ月間、毎日朝から夕方まで歌ったり踊ったりでね」

-どんな感じになりそうですか-

「私を応援してくださる方は、年齢の高い人なんですよ。だから、『踊りをバーッて踊ってくれるのもいいけど、シャンソンなどももうちょっと歌ってくれる?』って言われたりするので、シャンソンをもう少し入れたいなあって。

今までだと2曲くらいしかやってなかったんですよね。もうちょっとコーナーを広げたいなと思ったりしています」

目を輝かせて話す姿はバイタリティーに溢れ若々しい。2023年で結婚40周年を迎えた夫とはケンカをしたことがないという仲良し夫婦。レパートリーを増やすためにお料理を習いに行きたいと思っているという。いくつになってもチャレンジする姿勢がステキ。(津島令子)

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