ネルソン・マンデラ、自由への闘争

2013.12.06
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12月5日夜、南アフリカ共和国初の黒人大統領、人権運動指導者ネルソン・マンデラ氏が死去。95歳だった。写真は2006年撮影。

Photograph by Kim Ludbrook, European Pressphoto Agency
 12月5日夜、南アフリカ共和国初の黒人大統領、人権運動指導者ネルソン・マンデラ氏が死去した。享年95歳。同国で3世紀にわたった白人による黒人支配は、1994年の大統領就任により終焉を迎えた。 ネルソン・ホリシャシャ・マンデラ(Nelson Rolihlahla Mandela)は1918年7月18日、南アフリカの主要民族集団のひとつ、コーサ人の首長の家系に生まれた。

 フォートヘア大学とウィットウォータースランド大学で法学を学び、在学中の1944年にアフリカ民族会議(ANC)に入党、反アパルトヘイト運動に身を投じる。1952年、ANC副議長に就任。キューバ革命(1958~59年)に触発されたマンデラは1961年、軍事組織ウムコント・ウェ・シズウェ(Umkhonto we Sizwe:民族の槍)を創設、毛沢東やチェ・ゲバラのゲリラ戦術をヒントに、白人政権への直接的な攻撃を開始した。

 1962年に逮捕、1964年に反逆罪と破壊行為で終身刑を言い渡される。ケープタウン沖ロベン島に収監され刑期の大半を重労働に従事、27年間を獄中で過ごす。1980年代に幾度も早期釈放を政府から提案されたが、条件付きだったため拒み続けた。

 1990年2月2日、白人政権のフレデリック・デクラーク大統領は、ANCを含む反アパルトヘイト組織の非合法化を解除し、マンデラの釈放を発表。黒人が厳しい差別を受けていたアパルトヘイト時代に幕が降りた瞬間だった。

 釈放後にケープタウンの市庁舎に到着したマンデラを迎えた支持者は5万人にのぼり、4半世紀ぶりに公の場で語られる言葉を待ちかまえていた。世界中に放送されたこの集会でマンデラは、「われわれの闘いは決定的瞬間を迎えた。自由への歩みは後戻りできない」と述べた。

 1993年12月、民主主義への平和的移行を指導した功績で、デクラークとともにノーベル平和賞を受賞。

 1994年、黒人が参政権を得た初の国政選挙でANCは勝利し、マンデラは大統領に就任する。1999年に政界を引退した。

Photograph by Kim Ludbrook, European Pressphoto Agency

文=Jane J. Lee

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