糞化石からスタバまで、南ライン諸島の数奇な歴史
南太平洋に点々と浮かぶ南ライン諸島。その海面下には手つかずの自然があふれていることを、『ナショナル ジオグラフィック』2014年9月号で紹介した。いっぽう陸の上、つまり島々には人間の活動や開発の痕跡が数多く残されている。その歴史を簡単に紹介しよう。
島々は、そもそも星を頼りに航海する伝説的な船乗り、ポリネシア人のものだった。いくつかの島では、ポリネシア人の墓地や宗教遺跡「マラエ」が見つかっている。ただし、いつ、どのようにして人が住むようになったのかは定かではない。
資源を奪い、農場を開拓し、水爆実験まで
そこへヨーロッパ人が入ってきたのは19世紀。グアノ(糞化石)を掘る労働者でにぎわった。グアノとは海鳥やコウモリ、アザラシなどの糞が堆積、化石化したもので、当時は肥料として重宝されていた。モールデン島では帆で走るトロッコ車にグアノを積み込み、海の近くの倉庫へ運んだ。
1856年、アメリカでグアノ島法が制定されると、同国民はグアノの鉱床のある島は他の国の領土でない限りどこでも所有することが認められるようになった。当時、無人だった島々もその法律の適用を受け、ほとんどの島でグアノ鉱山が開発された。
ココヤシが植えられた島もある。実を乾燥させたコプラからは油脂がとれるからだ。
さらにひどい使われ方もあった。1957年にイギリスがモールデン島上空で水爆実験を行ったのだ。その後31年が過ぎても、実験が行われた場所から約800キロ離れたカロリン島(ミレニアム島)での放射線セシウムの線量は通常値を上回ったままだった。
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