フォトギャラリー

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ナショナル ジオグラフィック日本版 2011年11月号

アイスマンを解凍せよ

Photograph by Robert Clark

特集ページへ

  • 滅菌処理を施したアルミホイルの上で解凍される、アイスマンの腕。
  • オランダ人アーティストのアドリー・ケニスとアルフォンス・ケニスは、アイスマンの骨格の3D画像や解剖の結果を基に、等身大の復元模型を製作した。アイスマンの瞳の色は青だと当初考えられていたが、DNA解析により茶色だったと判明。
  • アイスマンは干し草と獣皮を樹皮の繊維でつづり合わせた靴を履いていた。
  • アイスマンを研究室に運び入れた後、研究者たちは部屋の温度を18℃まで上げ、解凍作業に入った。交差した足と突き出した左腕に合うよう特別に作った箱に滅菌処理をしたアルミホイルを敷き、アイスマンを寝かせた。一晩かけて解凍する間に出た水850グラムは集められ、ミイラの腐敗を早める可能性がある、低温に適応する細菌を分析することになっている。
  • イタリア・ボルツァーノの南チロル考古学博物館で9時間に及ぶ解剖を終え、再びマイナス6℃まで冷却されるアイスマン。この後、大きなガラスの台に乗せられ、一般公開されることになっている。
  • イタリアとオーストリアの国境にあるエッツタール・アルプス。1991年、標高3200メートルの地点で、氷河から露出していた男性のミイラを登山者が発見した。周囲には、様々な種類の新石器時代の遺物が散乱していた。アイスマンは、発見地にちなんで「エッツィ」という愛称でも知られるようになった。
  • ひざの付近にあった十字形の入れ墨は、関節炎の痛みを和らげるための民間療法だった可能性がある。
  • アイスマン発見時の状況を再現した模型。中央付近に見えるのがアイスマンの体。足の近くからは、皮ひもを通したカンバタケという種類のキノコが2つと、硬い石(フリント)でできた短刀と靴が発見された。頭からそう離れていない位置には、カエデの葉を入れた包みがあった。このほか、銅の刃を持つ斧、2本の矢、ひもも見つかっている。
  • 内視鏡を操作し、アイスマンの肩に埋まった矢じりを調べようとするエドゥアルト・エガーター・ビゲル(右から2人目)と同僚たち。矢が動脈を傷つけたため、アイスマンは大量出血で即死したと考えられる。
  • X線画像が、致命傷になった矢じりを写し出した。
  • 9時間の解剖を経てサンプルを採取した研究者たちは、アイスマンの生と死の謎を生物学的な立場から解き明かすためのヒントを、たくさん手に入れた。
  • 胃に残っていた最後の食事を見たある医師は、思わず「彼は食欲旺盛だったようだな!」と言った。
  • 神経外科医のチームが採取した少量の血腫は、死亡時にアイスマンが脳に外傷を負ったことを示唆している。
  • 皮ひもを通したキノコはカンバタケという種類で、止血や感染予防に使う“携帯用救急セット”の一部だったとみられる。<br /><br />遺物はすべてイタリア・ボルツァーノの南チロル考古学博物館で撮影された。
  • 硬い石(フリント)でできた短刀とさや。<br /><br />遺物はすべてイタリア・ボルツァーノの南チロル考古学博物館で撮影された。
  • 当時は貴重だった銅の刃を持つ斧(おの)は、アイスマンが高い地位にあったことを示している。<br /><br />遺物はすべてイタリア・ボルツァーノの南チロル考古学博物館で撮影された。
  • 2本の矢は、狩猟や護身に使われた。<br /><br />遺物はすべてイタリア・ボルツァーノの南チロル考古学博物館で撮影された。
  • カエデの葉は、火の燃えさしを包むためのもの。<br /><br />遺物はすべてイタリア・ボルツァーノの南チロル考古学博物館で撮影された。
  • 写真のひもは弓の弦だった可能性があるが、真相はいまだ謎のままだ。<br /><br />遺物はすべてイタリア・ボルツァーノの南チロル考古学博物館で撮影された。
  • これまで見つかった中で最も古い靴の一つ。底にはクマの皮、甲にはシカの皮、内側には保温のための干し草が使われていた。<br /><br />遺物はすべてイタリア・ボルツァーノの南チロル考古学博物館で撮影された。
  • アイスマンを展示場所に戻す数分前、滅菌処理済みの水を体全体に噴霧する病理学者のエドゥアルト・エガーター・ビゲル。霧は体に触れた瞬間に凍り付いてつやつやと輝く膜を作り、アイスマンを汚れや乾燥から守ってくれる。
  • 冷たく硬直したアイスマンが眠るのは、イタリア・ボルツァーノの南チロル考古学博物館にあるイグルー(雪や氷で作るドーム形のイヌイットの家)のような部屋だ。気温はマイナス6℃、相対湿度は98.5パーセントに保たれており、アイスマンの体を5000年以上にわたって守り続けた氷河の環境が再現されている。
  • アイスマンの復元模型からは、当時の暮らしの厳しさがうかがえる。年齢は40代半ばから後半だが、体には傷や老化の痕跡が多数ある。今回の解剖では残念ながら、アイスマンの死の謎を解く最後の手がかりである矢じりにたどり着くことはできなかった。

フォトギャラリー一覧へ

ナショナルジオグラフィック日本版サイト

広告をスキップ