レッサーパンダをペットにいかが? ナマケモノは? キュートな霊長類のスローロリスは?
珍しい動物を飼いたいという需要が高まっている。その一因は、インターネットに投稿されているかわいい動物たちの動画だ。そうした動画の中には、まるで野生動物が飼いならされているかのように見せかけたものもある。(参考記事:「ペットのイヌがクマに変身? ウソのような話の真実」)
もちろん、動物福祉の観点から、野生の動物を飼うべきではない。家畜化されていない野生動物は、人間の住居ではなく自然環境で生きられるよう進化を遂げている。しかもその取引では、動物は残酷に扱われ、多くの場合、密猟によって供給されている。(参考記事:「珍しい動物のペットが中国で人気上昇、心配の声も」)
しかし、もっと直接的な理由もある。野生動物はフワフワでかわいいが、ペットに適していないのだ。人気のエキゾチック・アニマル10種について、詳しく解説しよう。
レッサーパンダ
レッサーパンダは赤褐色の豊かな体毛、フワフワの大きな耳、フサフサした縞模様の尾が特徴。抱きしめたくなるような外見だが、レッサーパンダは動揺すると、肛門腺から刺激臭を発する。捕食者を撃退できるほど強烈な臭いだ。(参考記事:「動物大図鑑 レッサーパンダ」)
「野生動物をペットにしたいとは思わないでしょうが、特にレッサーパンダは飼わない方がいいと思います」と、米シンシナティ動植物園の園長セイン・メイナード氏は話す。「ネコのようなかぎ爪を持っており、家具をズタズタに切り裂くのはもちろん、飼い主も被害を受ける可能性があります。また、多くの哺乳類がそうであるように、縄張りをマーキングします。家は文字通り、悪臭を放つようになるでしょう」
さらに、レッサーパンダの生息地は中国中央部やネパール、ミャンマー北部の雨の多い高地の森林で、ほとんどの時間を樹上で過ごす。この環境を再現するのは(明らかに)難しい。
しかも、生息地全域で絶滅の危機に陥っており、ワシントン条約(正式名称「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)」)で商取引は禁止されている。(参考記事:「ワシントン条約会議が浮き彫りにした9つの現実」)
ナマケモノ
動きの遅い静かな哺乳類で、中南米の熱帯雨林やマングローブに生息する。生涯のほとんどを樹上で過ごし、週に1回程度、排便のために降りてくる。いつものんびりしているため、落ち着いた性格と思われがちだが、必ずしもそうではない。(参考記事:「ナマケモノ、実は賢い? 「生存に完璧に適応」」)
ナマケモノは脅威を感じると、鋭いかぎ爪(と歯)で身を守る。社会性はあまり高くなく、交尾と子育てのとき以外は単独生活を送る。(参考記事:「ナマケモノは交尾もゆっくり?」)
「ナマケモノはか弱い動物です。日常的に(人に)触られると、重度の精神的ダメージを受けるおそれがあります」と、動物福祉に取り組むNPO「世界動物保護協会」のエキゾチック・ペット部門の責任者、カサンドラ・ケーネン氏は話す。(参考記事:「【動画】目撃、森のナマケモノが捕獲され闇市場へ」)
また、ナマケモノは温度変化にとても敏感だ。健康を維持するには、気温約26〜30℃、湿度80%の環境で飼う必要がある。
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