キタシロサイの数は減少を続けてきた。2015年11月には、米サンディエゴ動物園でノラという41歳のメスが、病に繰り返し襲われた末、安楽死させられた。同年7月には、チェコの動物園でナビレという名の31歳のメスが合併症で死亡した。2014年10月には、34歳のオスのスニが亡くなった。自然死だった。
今となっては野生のオスが発見されない限り、自然繁殖は事実上不可能だ。科学者らはキタシロサイを救うために、生きている個体からすでに生殖細胞を採取し、ミナミシロサイを代理母とした体外受精の準備を進めているが、これには10年以上かかることが予想される。(参考記事:「絶滅寸前のスッポン、繁殖可能なオスはどこに?」)
もう一つのシロサイは?
シロサイは現存するサイ5種のうちの1種で、そこからさらにキタシロサイとミナミシロサイという2つの亜種に分かれる。キタシロサイはミナミシロサイよりも体が小さく、背中がまっすぐで、頭骨の上部が平たく、耳と尻尾が毛深く、前の角がずんぐりとしている。ミナミシロサイは比較的体が大きく、頭骨の上部がくぼんでおり、肩のこぶが背中に盛り上がっており、体全体に体毛が生え、前の角が長い。
キタシロサイと同じく、ミナミシロサイも個体数の減少に悩まされてきた。南アフリカ原産のミナミシロサイは、今世紀初頭にはかなり減っていたが、政府の保護活動により、個体数は約2万頭まで回復した。繁殖や移住プログラムのほか、議論の多いスポーツ・ハンティングが管理下で容認されてきたことも功を奏しているようだ。(参考記事:「動物を殺して動物を救えるか?「娯楽の狩猟」とは」)
しかし近年、南アフリカではサイの角の取引が再び合法化され、ミナミシロサイは、今も国際自然保護連合(IUCN)の「準絶滅危惧(near threatened)」に指定されている。(参考記事:「サイの角、南アで取引解禁へ 密猟増加の懸念も」)
「アフリカの人間として保護に努めなければ、多くの種に同じことが起こります」とセブニャ氏は言う。「これはわれわれの目の前で起こっていることであり、他の種を助けるために人間には何かができるはずです」(参考記事:「史上最大、サイ100頭の空輸計画」)
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