進行卵巣癌患者に対する外科的治療では、骨盤リンパ節と傍大動脈リンパ節の系統的郭清が広く行われている。ドイツKliniken Essen MitteのPhilipp Harter氏らは、手術で肉眼的には腫瘍を取り切れた卵巣癌患者を対象にランダム化対照試験(RCT)を行い、リンパ節郭清は生存期間の延長をもたらしていないが、重篤な術後合併症のリスクを増やしていたと報告した。結果はNEJM誌2019年2月28日号に掲載された。
進行した卵巣癌の治療の主流は、手術で肉眼的な腫瘍を全て切除し、術後にカルボプラチンやパクリタキセルなどで化学療法を行うものだ。症例によってはベバシズマブが追加されることもある。卵巣癌患者にリンパ節郭清を行った症例シリーズ研究では、44~53%の症例からリンパ節転移が見つかったことが報告されている。しかし、リンパ節郭清が患者の生存期間を延長することを示したRCTはなかった。そこで著者らは、進行卵巣癌で肉眼的には腫瘍を残さず切除できた患者を対象に、系統的リンパ節郭清を行う群と行わない群にランダムに割り付けて、生存への影響を調べる臨床試験LIONを実施した。
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