Men's Fashion

シン・仮面ライダー コートスタイルも“シン”

@ニュースなルック

コラムニスト いであつし

2023.4.13

何でも衣装を担当したデザイナーの話によれば、シン・仮面ライダーはマスク(仮面)を脱いでもライダースーツを着ており、そのままの格好で出歩くのは無理があるので、コートで隠しているという設定にしたらしい。確かに、シン・仮面ライダーはマスクをよく脱ぐ。マスクを脱いで片手に抱えながら歩く池松壮亮ライダーや柄本佑ライダーのシーンが度々出てきて、映画の宣伝用ポスターにも使われている。

映画『シン・仮面ライダー』で仮面ライダー1号、本郷猛を演じた池松壮亮さん。マスクからはみ出た髪が印象的だった

筆者の勝手な考察だが、この演出こそ、石ノ森章太郎先生が描いた原作の仮面ライダーに最も近いと思う。石ノ森先生が当初に描いた仮面ライダーのコンセプトは「改造人間にされてしまった哀(かな)しみを背負って戦う孤高のヒーロー」だ。週刊少年マガジンの連載でも、マスクを外した哀しげな仮面ライダーのシーンが度々登場する。

さらにもっと言えば、仮面ライダーしかり、名作の『サイボーグ009』もしかり、石ノ森先生が描く、改造人間にされてしまった哀しみを背負って戦うヒーローには、コートとマフラーがよく似合う。シン・仮面ライダーでも、浜辺美波さんが演じる緑川ルリ子が、本郷猛に「昔からバイク乗り、ライダーには必需品。それにヒーローといえば赤なんでしょ」と言って、一文字隼人には「魂の自由を取り戻して」と言って、2人のライダーにマフラーを巻いてあげるシーンが出てくる。

また、エンディングに流れた曲が、誰もが知っている主題歌の『レッツゴー!! ライダーキック』ではなく『ロンリー仮面ライダー』というのも、歌詞を読めぱ「さすが庵野監督、わかってらっしゃる」とうなずいてしまう。

バイク用コート 男心をそそる仕掛けが満載

ファッション的に言うと、シン・仮面ライダーが着ているコートはトレンチコートにも似ているが、いわゆる「モーターサイクルコート」である。出自は同じミリタリーコートで、名前のとおり1940年ごろにフランス軍や英軍のバイク部隊が着るために開発されたロングコート。バイクに乗る時に着用するため、襟が立てられるようになっていたり、ポケットの形が変わっていたり、ボタンの数が少なかったり、内側に裾を膝に巻き付けるベルトが付いていたりする。そのデザイン性の高さから、多くのファッションブランドがデザインソースに採用している。