デジタル大辞泉
「尋常」の意味・読み・例文・類語
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じん‐じょう ‥ジャウ【尋常】
〘名〙
① (「尋」は八尺、「常」は一丈六尺) わずかな長さ。わずかな
距離。
※本朝文粋(1060頃)九・聖化万年春詩序〈
大江朝綱〉「望
二龍顔於咫尺
一、奉
二鳳衡於尋常
一」 〔春秋左伝‐成公一二年〕
② (形動) 特別でない、ふつうのこと。また、そのさま。よのつね。つね
なみ。なみ。通常。
※
田氏家集(889‐898頃)下・閏十二月作簡同輩「暦倍
二尋常
一歳晩遅、却知三百六旬非」
※
今昔(1120頃か)二八「一人として尋常なる者无し。皆襴表の衣を尻許まで脱下たり」 〔
杜甫‐丹青引〕
③ (形動) 見苦しくないこと。すぐれていること。また、そのさま。
(イ) 目だたないで、なんとなく品の良いこと。また、そのさま。しとやか。
※
古今著聞集(1254)一二「いとなまやかにて、こゑけは
ひよりはじめて、よに尋常なる男の」
※
曾我物語(南北朝頃)七「
五郎は、〈略〉色くろく、下種しくみゆる。十郎は、里に住みしかととも、色しろく、しんしゃうなり」
(ロ)
ありさまがかなり立派なこと。また、そのさま。
※今昔(1120頃か)二九「吉き馬に尋常の
鞍置て、水旱装束なる雑色三人許、
舎人と具して将来
(もてきたり)たり」
(ハ) けなげで立派なこと。いさぎよいこと。また、そのさま。殊勝。
※
太平記(14C後)三「正成はや自害をしてけり。敵ながらも
弓矢取て、尋常
(ジンじゃう)に死たる者哉、と誉ぬ人こそ無りけれ」
(ニ) すなおでおとなしいこと。また、そのさま。
※
謡曲・安宅(1516頃)「この上は力及ばぬこと、さらば
最期の勤めを始めて尋常に誅せられうずるにて候」
※浄瑠璃・博多小女郎波枕(1718)下「尋常に召捕らるるか、踏付けて縄掛けふかと」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
普及版 字通
「尋常」の読み・字形・画数・意味
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