上海短期金融市場=人民元金利が急上昇、6月以来の高水準

[上海 25日 ロイター] - 今週(21―25日)の上海短期金融市場の人民元金利は急上昇し、信用逼迫(ひっぱく)に見舞われた6月下旬以来の高水準となった。不動産価格の上昇やインフレを抑えるため、規制当局が緩やかな引き締めを検討する意向を示唆したことが要因。
指標となる7日物レポ金利(加重平均)は25日正午ごろの時点で、前週末比129.49ベーシスポイント上昇の4.98%。
翌日物レポ金利は121.78ベーシスポイント上昇の4.47%、14日物レポ金利は131.87ベーシスポイント上昇の5.89%。
中国人民銀行(中央銀行)が3回連続で公開市場操作を見送ったのを受け、主要な短期金利は25日にかけて大幅に上昇した。見送りの結果、市場の資金が吸収され、一部投資家の間に警戒感が広がった。
翌日物レポ金利 は一時7.5%に上昇し、6月28日以来の高水準をつけた。指標となる7日物レポ金利 は24日、6.94%に上昇。14日物レポ金利 も同日6.6%をつけた。
加重平均ではこれよりも低く、4.47―5.89%となった。ただ、それでも6月以来の高水準。トレーダーは、100ベーシスポイントを超える上昇率について、地合いの変化を指摘する。
北京の主要国有銀行のディーラーは「きょうの地合いは前日と同様、極めて神経質だ。高い金利はおおむね、心理的な反応によるものだ」と述べた上で、「中銀が(資金を供給する)公開市場操作でリバースレポの発行を取りやめていることが理由の一つだ。法人税の支払期日も近づいている」と説明した。
短期金利は潤沢な流動性を背景に、今月に入ってから徐々に低下していた。トレーダーはこれについて、外国からの資本流入と外為市場での人民銀の介入を主な理由に挙げている。
現在も短期金利は6月のピーク時の水準を大幅に下回っている。ただ、類似点も指摘されている。
月末の法人税支払いや銀行による預金準備率規制のクリアに向けた準備期間を迎えたものの、人民銀は資金需要を十分に満たすだけの流動性供給を今回も手控えている。
6月は少量の資金を注入したが、今回は3回連続で公開市場操作を見送った結果、今週1週間で580億元の資金が吸収された。先月末からの吸収額は1575億元に達した。
トレーダーは来週の人民銀の動きに引き続き注目する。手形の満期に伴い、市場では60億元の資金吸収が予定されている。
エコノミストの間では、今週の動きの重要性をめぐって意見が分かれる。一部には、過去数年の緩和的な金融政策を見直し、金融引き締めに向けた第一歩を踏み出したとの見方も出ている。
野村証券のエコノミスト、張智威氏は「中国政府は(法人税支払いなどの)季節的要因をよく理解しており、流動性を調整できたはずなのに、レポ金利の上昇を容認した。これは明確な政策的シグナルと受け止めている」と指摘した。
一方、リオリエント・フィナンシャル・マーケッツのスティーブ・ワン氏とデービッド・ゴールドマン氏は、7日物レポ金利の上昇率はこれまでのところ、年初からの月末の上昇幅におおむね沿っていると説明、季節的な微調整にすぎず、間もなく通常の状態に戻るとの見方を示した。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab