アブラハムに業務停止命令6カ月、無登録で金融商品販売=金融庁

[東京 11日 ロイター] - 金融庁は11日、アブラハム・プライベートバンク(東京都港区)が海外ファンドの商品を実質的に無登録で販売し、金融商品取引法に違反したとして、関東財務局が業務停止命令を出したと発表した。
業務停止期間は2014年4月10日までの6カ月間。証券取引等監視委員会による勧告を踏まえた措置で、登録取り消しに次ぐ重い処分となる。業務停止処分からは、既存契約の解約業務を除く。関東財務局は、責任の所在の明確化や投資家保護に万全の措置を講じるよう業務改善命令も出した。
投資助言・代理業の登録をするアブラハムは、金融商品の勧誘・販売を手掛けられないが、同社取締役が国外に設立した会社を通じ、アブラハムの顧客がファンドを購入した額に応じて海外ファンドから報酬を得て、持ち株会社のアブラハム・グループ・ホールディングスに還流。アブラハム・プライベートバンクの社員は持ち株会社からの出向のため、監視委は3社が実質的に一体となって無登録でファンド販売を手掛けていたと認定した。遅くとも2010年8月から13年5月までに、2792人の顧客が海外ファンドを取得した。
同社はウェブサイトに「金融機関や運用会社から販売手数料はもらっていない」と記載。同社より低い手数料のサービスの存在を知りながら同社の手数料を「最安値」と表示するなどしており、監視委は「著しく事実に相違したり、誤認させるような表示の広告」だとして、この点についても金商法違反と認定した。投資実績に不満を持った顧客からの依頼で2年分の報酬約900万円の免除もしており、これも顧客への追加の利益提供を禁じる金商法違反に当たると判断した。
監視委によれば、同社主力商品の発行体の経営状況やコンプライアンス体制、運用パフォーマンスなどには特段の問題は見られない。顧客資金を預かっていないため、消失の恐れもない。
同社は2007年に投資助言・代理業を登録。「月5万円で自分年金1億円を目指せる」などと広告し、顧客が海外ファンドを直接購入できるとうたってサービス「いつかはゆかし」を提供していた。
アブラハムは同日、「行政処分を厳粛に受け止め、早急にサービス提供体制の再構築を行い、法令順守体制を強化した改善策を責任を持って実行する」とのコメントを発表した。
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