町方新田村(近世)

　江戸期～明治22年の村名。尾張国海東郡のうち。尾張藩領。鵜多須代官所支配。津島五ケ所新田の１つで，津島町方新田とも称した。当山記録によれば，津島村の者が開発（養性寺文書／佐織町史資料編２）。「徇行記」は慶安３年の検地とあるが，それ以前に検地されたと思われる。はじめ当村一帯は草野新田・堤外新田・川西新田などと呼ばれ，寛文６年の津島五ケ所新田年貢免状で町方新田の名が見える（祖父江家文書／同前）。村高は，「旧高旧領」1,242石余。天保12年の村絵図によれば，概高1,004石余，宝暦11年・文化３年に増高となり，1,045石余，のち新田の検地がなされ，1,239石余となった。「徇行記」によると全村蔵入地，戸数111・人数519，馬３。集落は東の足立川沿いと南の津島神領境を中心に発達した。なお天保12年の村絵図では家数112・人数497，馬４。神社は天王２社（津島社）・神明社など。明治初期の第六大区十三小区物産表によれば，米・糯米・大麦・小麦が生産作物の中心で，ほか白大豆・蓮根・綿子・菜子なども生産（同前）。藍や木綿の生産も盛んだった。明治９年上中地・下中地を中地村として分離。同11年鬼頭新田の一部を編入。同22年草場村の大字となる。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典(旧地名編)」 JLogosID : 7361317