米Twilioが日本法人を設立--クラウドコミュニケーション基盤の普及目指す

大場みのり (編集部)

2019-09-05 07:00

 クラウドコミュニケーションプラットフォームを提供する米国企業のTwilioは8月30日、日本での事業拡大に向けて、Twilio Japanを設立したと発表した。2008年創業のTwilioは、現在16万社以上の顧客企業を擁している。日本では、KDDIウェブコミュニケーションズ(KWC)が2013年に独占販売権を取得し、サービスの販売とサポートを行っていた。

Twilioの顧客企業の一部(出典:Twilio)
Twilioの顧客企業の一部(出典:Twilio)

 Twilioのプラットフォームは、電話やメール、ビデオ、ファクス、チャットなど、さまざまな通信インフラを集約するクラウド型サービス。勘定系や基幹系、情報系といった、さまざまなシステムやアプリケーションにAPIで接続し、コミュニケーション機能を組み込むことができる。

 日本法人設立の背景について、TwilioのHead of APAC(アジア地区代表)を務めるAngie Bell氏は「日本には大きなビジネスチャンスがあり、優先順位の高い市場であるから」と述べた。今後は日本企業の支援を強化するため、Twilio Japanに日本人のサポートチームを設立するという。

Twilioのベル氏
TwilioのBell氏

 加えて、Twilio Japan 代表執行役員 社長の今野芳弘氏は「近年、Twilioのサービス利用が増えていることや、日本でもクラウド市場が定着し、クラウドコミュニケーションプラットフォームへのニーズが期待できることから、今回の設立に至った」と説明。同氏は「これまで日本では、コミュニケーションプラットフォームはあまりカテゴライズされてこなかったが、今後は企業と顧客のやりとりに活用してもらえるよう努めていく」と語った。

Twilio Japanの今野氏
Twilio Japanの今野氏

 Twilio Japanは、「ブランドの浸透」「販売体制」「フォーカス製品」「コミュニティー」を4つを戦略として掲げ、事業を推進していく。

ブランドの浸透、販売体制

これまでTwilioは、KWCが日本における営業やマーケティングを取り仕切っていたが、今後はTwilio Japanが顧客企業への販売、サポート、マーケティング、ブランディングなどを行い、KWCはリセラーとして既存の顧客企業に対応する。また今回、NTT コミュニケーションズ、NTT データ・スマートソーシング、ウルシステムズ、サーバーワークス、テラスカイ、パウンド4テクノロジー、クラスメソッドのシステムインテグレーター7社がパートナーに加わり、Twilio製品を活用したシステムの構築・導入サービスを提供していく。

(出典:Twilio japan)
(出典:Twilio japan)

フォーカス製品

Twilio Japanは、企業と顧客の電話におけるやりとりを支援する「Programmable VOICE」、2要素認証を行う「Authy」、チャットなどのさまざまなチャネルに対応するコンタクトセンタープラットフォーム「Twilio Flex」、エンドユーザーの属性や状況に応じてメールを配信するプラットフォーム「SendGrid」に注力する。

Programmable VOICEは、ウェブサイトやAPIを経由して使用する電話番号を購入する機能を提供する。着信側が通話料を負担する0120/0800 番号への対応や、プライバシー保護のため顧客の電話番号を非表示にすることが可能で、顧客が不安を抱くことなく企業とやりとりできるようになるという。また、通話の録音やテキスト化も可能なため、定期的なコンプライアンスチェックや訴訟になった際に活用できるとしている。

コミュニティー

勉強会やハッカソンの実施を通して、技術者のコミュニティー拡大を支援する。

 Twilio製品の販売事業について、KWC 代表取締役社長の山崎雅人氏は「実は7年前、Twilioが提供しているような製品を自社で開発・販売していたが、Twilioを知って『負けた』と思い、展開を止めた。そして、Twilioに頼んで日本での展開を開始した」と述べた。今後は、KDDIというキャリアの信頼性や多くのグループ会社・リソースを活用しながら、リセラー/パートナーとして、活動していくという。

KWCの山崎氏
KWCの山崎氏

 「TwilioのシステムインフラにはAWS(Amazon Web Services)のクラウドが使用されているが、先日のような障害が発生した際、どのように復旧するつもりか」という質問に対して、今野氏は「AWS以外のクラウドも使っており、また米国だけでなく複数の国に分散してシステムを持っている」と説明。Bell氏も「サービスを一般公開する前、障害が起きた際の復旧をかなり検証をしている。例えば、全体をクラッシュさせたり、意図的に障害を入れたりして、どれくらい早く復旧できるかを検証している」と述べた。

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