【オリックス】若月健矢プロ10年目で初のサヨナラ弾 両リーグ最速で50勝

 ◆パ・リーグ オリックス5×―4日本ハム(22日・ほっと神戸) 

 オリックスが今季5度目のサヨナラ勝ちで、後半戦の白星スタートを決めた。同点の9回に若月健矢捕手(27)が2号ソロ。プロ10年目で初の劇弾を放った。ブルペンデーだったこの日は、プロ初先発の小木田敦也投手(24)が2回4失点で降板したが、先発から配置転換されている山岡泰輔投手(27)らが無失点でリレー。4連勝で貯金も最多を更新する18に増えた。両リーグ最速で50勝に到達。過去7度中6度で優勝している。

 勝利を運んだ若月は正直だった。「ホームラン打者じゃないんで、分からないです…」。プロ10年目で初のサヨナラ本塁打。手応えを問われ、照れ笑いした。9回1死、宮西の外角直球を右越えへ2号ソロ。「中学生ぶりぐらいですね」と劇弾の余韻に浸った。

 ヒーローは攻守で大忙しだった。エースの山本や山下、山崎福が球宴に出場したこともあり、後半戦の初戦は実質ブルペンデー。2年目で初先発だった小木田ら6投手を必死にリードした。7回に中越え二塁打を放つなど、バットでも今季初の3安打。「ちょっと、足がつりかけていた」と、最後は走る必要がなかった。

 規定打席をクリアしていないが、昨季は自己最高の打率2割8分1厘。陰で支えてくれたのが中嶋監督だった。背筋に力が入り過ぎることで、上体が反る難点を指摘。「腹圧に力を入れて。丸く、小さく…」と、フォーム改善への助言をもらった。体の状態を把握するため、休日は一人でピラティス教室にも通う努力家。「準備だけは怠らないように、一日一日を大事に」と、すぐに気持ちを切り替えた。

 同じ95年生まれの森が故障離脱後、正捕手として奮闘している。「友哉の代わりにはならない」と謙虚な心で球宴にも初出場。「本当に勉強になりました」。ロッテ・佐々木朗の変化球を止めまくり、ソフトバンク・和田の球威に驚いた。

 脇役が輝くのもチームの強さ。ただ4連勝を飾るだけでなく、中嶋監督は厳しさも忘れなかった。4回の守備でレギュラーの中堅手・中川圭を交代。「懲罰とかではない」と言ったが、守備面の緩みを見逃さなかった。「これは全員。誰だろうと関係ない。走らなかったり、いろんなことをしたり。せっかくの流れを止めるのは嫌なので」と、凡事徹底を強調。高いレベルで戦う集団になってきた。

 両リーグ最速の50勝到達も通過点でしかない。パ・リーグ王者が一気に抜け出しそうな気配だ。(長田 亨)

9回1死、サヨナラ本塁打を放ち、ベンチ前でナインに迎えられる若月健矢(カメラ・渡辺 了文)
9回1死、サヨナラ本塁打を放ち、ベンチ前でナインに迎えられる若月健矢(カメラ・渡辺 了文)
中嶋聡監督(左)に迎えられる若月健矢(カメラ・渡辺 了文)
中嶋聡監督(左)に迎えられる若月健矢(カメラ・渡辺 了文)

野球

×