武藤敬司、引退試合は来年2月21日、東京ドーム…最前列VIP席「猪木対アリ」超えの50万円

会見でポーズをとるプロレスリング・ノアの武藤敬司(カメラ・今西 淳)
会見でポーズをとるプロレスリング・ノアの武藤敬司(カメラ・今西 淳)
武藤敬司
武藤敬司

 プロレスリング・ノアは7日、東京ドームホテルで武藤敬司(59)の引退試合を来年2月21日、東京ドームで開催することを発表した。

 大会名は「KEIJI MUTO GRAND FINAL PRO―WRESTLING “LAST”LOVE ~HOLD OUT~」。試合開始は午後5時。チケットはVIP席が引退記念特典、専用入場ゲートからの入場付きの50万円となった。VIP席50万円は1998年4月4日の同じ東京ドームでのアントニオ猪木引退試合の特別リングサイド3万円を大きく上回り、1976年6月26日に日本武道館で行われた猪木対ムハマド・アリのロイヤルリングサイド30万円をも超える破格の設定となった。以下、チケットはロイヤルシート(2列目)が10万円。アリーナS席(3列目~)5万円。A席(11列目~)3万円。B席(21列目~)1万5000円。スタンドS席1万円。A席5000円となっている。

 会見に武藤はスーツ姿で登壇した。武藤は「東京ドームで引退できることをレスラーに冥利尽きる非常にうれしいことだと思っております」とノアに感謝した。その上で「今の若い人には分からないかもしれませんが、俺はあしたのジョーという漫画が大好きで」と切り出し「ジョーのようにすべてを出し尽くして白く灰になりたいと思います」と誓った。

 引退試合の相手については「候補が数人いる中で今日来るゲストも候補なんだけどな」と明かした。直後に同期入門で「闘魂三銃士」として一時代を築いた蝶野正洋が登場した。蝶野は引退試合に来場し生中継のゲスト解説を務めることが発表となった。蝶野は「三銃士世代を代表するレスラーなんで華やかに派手にこれをきっかけに新しいプロレスファンを呼び込んでくれるような大会にしてくれると思う」とエールを送った。

 これに武藤は「当日何してくれるの?」と突っ込むと蝶野は「俺は去年の暮れに腰を手術してリハビリ中なんで間に合わない」と引退試合の相手を務めることは拒否した。それでも武藤はVIP席が「50万円高いからさ。お前も引退しようよ」と同時引退試合を持ちかけた。それでも拒否する蝶野に武藤は「俺が組み立ててやるからさ」と笑わせた。新日本プロレスに同日入門した武藤と蝶野は1984年10月5日に埼玉・越谷市体育館で互いのデビュー戦で戦った相手。それだけに武藤は「デビュー戦が一緒で引退試合が一緒のレスラーっていないからな。引退試合まで数試合あるから、そこで蝶野にハッパをかけるような試合をして少しでもリングに近づけるようにしますよ」と蝶野へのラブコールを送り続けた。

 しつこいほどの武藤の勧誘に蝶野は「困りますね。はめられました」と苦笑いを浮かべた。これに武藤は「蝶野、思いついた俺の横に並ぶかタッグマッチで。俺が9割働くよ」とタッグをも提案し何としてでも引退試合のリングに蝶野を引っ張り出すことを誓っていた。

 サイバーファイトの武田有弘取締役はドームでの引退試合について「武藤さんに一番ふさわしい会場」と明かし、6月19日に東京ドームで行われた那須川天心対武尊戦を見て「プロレスも負けないようにしたい」と刺激を受けての決断だったことを話していた。また、興行は「プロレスオールスター形式になると思います」と他団体からの参戦も予告していた。

 武藤は今年6月12日にさいたまスーパーアリーナで行われたDDT、プロレスリング・ノア、東京女子、ガンバレ☆プロレスを運営するサイバーファイトが開催する年に1度の祭典「サイバーファイトフェスティバル」のリング上で「かつて、プロレスとはゴールのないマラソンと言った自分ですが、ゴールすることに決めました。来年春までには引退します」と発表した。

 引退理由は「股関節がヒザと同様、奇形してきてこのまま続けててもいずれは股関節自体を人工関節にしなきゃいけない。人工関節を股関節にした時点でもうプロレスはできない、どの道。だから遅かれ早かれという中で」と股関節の負傷にあることを明かしていた。

 その上で「本当はプロレスやりたいよ。続けていきたい、本当は。だけどある意味、ドクターストップというか、本当に断腸の思いというか…まだやりたいこともいっぱいあると思うし、決断した以上は引退しますよ」と話していた。

 これを受けてノアは6月17日に都内で引退ロードとなる「武藤敬司ファイナルカウントダウンシリーズ」の開催を発表した。

 第一弾は7月16日、日本武道館で「プロレスLOVEフォーエバー.1~THE FINAL COUNT DOWN~」として開催。清宮海斗と一騎打ちで戦うも敗れた。

 第二弾は9月25日、愛知・ドルフィンズアリーナで「プロレスLOVEフォーエバー.2~OUT BREAK~」と銘打ち開催。対戦カードは武藤は藤田和之と組んで船木誠勝、中嶋勝彦と対戦する。

 第三弾は10月30日、東京・有明アリーナで「プロレスLOVEフォーエバー.3~TRIUMPH~」と題し開催。対戦カードは未定。

 また、武藤の引退に伴い化身のグレート・ムタも来年1月22日の横浜アリーナ大会を最後に魔界へ帰還することが決定。3日にムタはエディオンアリーナ大阪第1競技場で新日本プロレスのグレート―O―カーンと初タッグを結成。2人に加えてNOSAWA論外とのトリオでGHCヘビー級王者の拳王、征矢学、タダスケの反体制ユニット「金剛」と対戦。オーカーンがタダスケを破り勝利したが、試合後に仲間割れし米国マット、新日本プロレスへの降臨を示唆している。

 ◆武藤敬司(むとう・けいじ)1962年12月23日、山梨県富士吉田市生まれ。59歳。1984年4月、新日本プロレスに入門。同年10月4日、埼玉・越谷市体育館での蝶野正洋戦でデビュー。85年11月に米国へ武者修業し86年10月に凱旋帰国。88年1月から、二度目の海外遠征に出発し、グレート・ムタとしてWCWマットでトップヒールとして活躍する。90年4月に凱旋帰国すると、一気に新日本のトップに駆け上がる。2002年1月に新日本を退団し全日本プロレスへ移籍し社長に就任。2013年5月に全日本を退団。同年7月に新団体「WRESTLE―1」を設立する。2018年3月に両膝の人工関節設置手術を行い1年3か月にわたり長期欠場。2020年4月1日をもって同団体は活動停止。2021年2月12日、ノア日本武道館大会で潮崎豪を下しGHCヘビー級王座を初戴冠。翌日にノア入団を発表した。獲得した主なタイトルは、新日本のIWGPヘビー級、IWGPタッグ、全日本の3冠ヘビー級、世界タッグ、ノアのGHCヘビー級、GHCヘビー級タッグ。これは高山善廣に次いで史上2人目のメジャー3団体のシングル王座とタッグ王座を完全制覇となった。サイズは188センチ、110キロ。

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