異色のホープ夏生大湖、建築現場の監督を経て芸能界へ9月登場「六本木クラス」で俳優デビュー 

女形をやっていた間は髪を切らなかったが、現在はさっぱりとした髪形の夏生大湖(カメラ・頓所 美代子)
女形をやっていた間は髪を切らなかったが、現在はさっぱりとした髪形の夏生大湖(カメラ・頓所 美代子)

 昨年、「第34回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」の「明色美顔ボーイ賞」に輝いた夏生大湖(なつき・おみ、21)が、現在放送中のテレビ朝日系連続ドラマ「六本木クラス」(木曜・後9時)で俳優デビューする。学生時代はバレーボールの有望選手、社会人になってからは建築現場の監督を経て芸能界へ。人生初というインタビューで、異色のホープの素顔に迫った。(浦本 将樹)

 瞳や口調は若々しいのに、ルーキーらしからぬ落ち着きぶり。初めての取材に「よく人から『緊張していないでしょ』と言われますが、実はしています」と笑いながらも、どこかミステリアスなオーラを感じさせた。

 「六本木クラス」では9月1、8日放送の第9、10話に投資会社の若きカリスマ社長として登場する。主人公・宮部新(竹内涼真)がフランチャイズ展開を目指して経営する居酒屋「二代目みやべ」にとって、敵か味方か。ストーリーのカギを握る存在だ。「社長役と聞いてびっくりしました。ちょっと上を向いて胸を張るように、普段から意識するようにしました」。必死で、自分の周りにいる社長たちを思い出した。

 人生初の芝居では、「『手は意外と震えないな』と思っていたら、ステージを降りた後になってずっと足が震えていることに気付きました」。知らぬ間に緊張していたという。

 芸能界に入ったのは、20歳になったのがきっかけ。「テレビに出たい」という幼少期の夢を思い出し、「ジュノン―」に応募した。入賞後は、芸能事務所約20社から声がかかった。1社ごとに約30分、2日間かけて面接を受けた結果、広瀬アリス・すず姉妹らが所属するフォスターに決めたのは「社長が目先の仕事ではなく、年を取って長い目で見て一緒に仕事をしたいと言ってくれた」と明かす。

 高校卒業後は、家計を助けるために地元のゼネコンに就職。マンションの建築現場で監督をしていた。だが10人、20人といるベテラン職人たちは、誰も“若造監督”の言うことなど聞かない。鉄を切る工具・サンダーの安全カバーも面倒くさがって誰もつけない。「どうすれば…」と考えて職人を観察。すると彼らがゴルフの話題で盛り上がっていることに気付いた。

 「これだ!」とゴルフの経験はないものの、道具やスイングなどを勉強し職人たちの輪に入りこんだ。「うわべだけではなく『本当に始めたい』という気持ちになって話すと、色々と教えてくれる」。仲良くなった監督の指示を職人たちも聞くようになり、地元で大きな現場を任され続けた1年半、一度も事故は起こらなかった。この時の「心を開いて接すれば、相手も自分を理解してくれる」という経験は、現在の仕事にも生きている。

 中学高校時代はバレーボールのエースアタッカーとして活躍。中学では県選抜に入った。両手でバスケットボールのゴールをつかめるジャンプ力で「大学からお誘いも受けていた」ほど。相手の陣形の隙を突いてスパイクをたたき込むなど、分析力は当時から磨かれていた。

 ドラマの撮影現場でもその眼力を発揮している。竹内や平手友梨奈(21)らの演技に圧倒されたが、それだけで終わるわけにはいかないと一挙手一投足に注目。「僕も事前にセリフを覚えて声のトーンも練習はしました。それでもすごい俳優さんたちは、わずかな語尾の上げ下げで細かく表現している。最近では、ドラマや映画などを見ていても俳優さんのすごさや、時に違和感も分かるようになってきた」と見る目を養いつつ、吸収している。

 目標の俳優は松坂桃李(33)や柄本時生(32)。少ない言葉でメッセージ性のある演技に憧れる。「松坂さんは最近だと映画『流浪の月』。重い内容を静かに語る。演じるというよりなりきっている」と感銘を受ける。「柄本さんは(マカロニえんぴつやスキマスイッチの)ミュージックビデオに出られていて。しゃべらないのに、感情が伝わってくるのが驚きでした。あれを見て役者がやりたくなった」。静の演技を会得すべく、観察眼を磨いていく。

 ◆夏生 大湖(なつき・おみ)2001年4月5日、大分県出身。21歳。高校卒業後、地元ゼネコンに就職。21年11月に「第34回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で「明色美顔ボーイ賞」を受賞。特技は5歳から中学まで続けた日本舞踊(9歳からは女形)、11歳から始めた和太鼓、倒立歩行など。身長180センチ、血液型B。

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