照ノ富士 2場所連続金星許さず 大栄翔を土俵際大逆転 “苦手”九州場所で初の連勝スタート

大栄翔(左)をすくい投げで下した照ノ富士
大栄翔(左)をすくい投げで下した照ノ富士

◆大相撲九州場所2日目 〇照ノ富士(すくい投げ)大栄翔●(15日、福岡国際センター)

 横綱・照ノ富士が東前頭筆頭・大栄翔を豪快なすくい投げで裏返し、連勝発進を決めた。先場所、金星を初めて配給した相手に土俵際まで追い込まれたが逆転。2場所連続での金星は許さず、最高位の意地を見せた。大関・貴景勝は東前頭2枚目・阿武咲を突き出しで圧倒し、2連勝を飾った。熊本県出身でご当地の大関・正代は小結・逸ノ城を寄り切って初日を出し、上位陣は今場所初めて安泰だった。

 土俵際に立たされる窮地にも、照ノ富士は冷静だった。立ち合いは突き押し自慢の大栄翔に、執ように首元を突かれて苦戦した。俵に右かかとが触れると、右を深く差し込まれて万事休すとなるかに見えた。だが驚異的な粘りで踏みとどまると、豪快なすくい投げで相手をたたきつけた。冷や汗をかいた連勝にも、「落ち着いて取れたかな」と平然。鮮やかな逆転勝ちに2150人の観客からは、盛大な拍手が湧き起こった。

 同じ相手に不覚は取らなかった。新横綱だった先場所は9日目に大栄翔に土をつけられ、金星を初配給。因縁の相手だったが、「特に自分の相撲を取りきることしか考えていなかった。ずっと一つのことやってきてますから、それを貫いてやるだけ」と雑念は捨てていた。幕内で迎える福岡開催の九州場所は5度目だが、実は今回が初の連勝スタート。過去の悪い“合口”も関係なかった。

 先場所限りで横綱・白鵬が引退したことで、横綱2場所目は番付上でも一人で最高位を務める。綱の意地を見せた照ノ富士に、八角理事長(元横綱・北勝海)は「いい相撲だね。体が柔らかいのだろう。最後はよく残った」と評価した。

 3日目は強烈なおっつけを武器にしぶとい相撲を取る新鋭・若隆景戦。一人横綱の重圧を背負う29歳は「(場所が)終わってみないとわからないので、残りも頑張りたいと思っています」。史上5人目の新横綱場所からの連覇へ、着実に歩みを進める。(竹内 夏紀)

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