照ノ富士、横綱当確 無傷13連勝で伊勢ケ浜審判部長「成績的には十分満たしている」

スポーツ報知
正代(右)を押し出しで破った照ノ富士

◆大相撲名古屋場所13日目(16日、愛知・ドルフィンズアリーナ)

 大関・照ノ富士の横綱昇進に“当確ランプ”がともった。大関・正代との一番を押し出しで制し、土つかずの13連勝を決めた。師匠で、番付を編成する審判部の伊勢ケ浜部長(元横綱・旭富士)は「成績的には十分満たしている」との見解を示した。進退を懸ける横綱・白鵬も全勝を守り、賜杯のゆくえは2人に絞られた。13日目終了時で全勝が2人は、2013年夏場所の白鵬と大関・稀勢の里以来となった。

 照ノ富士が、ついに73代横綱の椅子に手をかけた。初日から13連勝をかけた正代戦。立ち合いから攻め込んだところを一度すくわれ俵を背負ったが、こらえて前進。押し切って、大関戦を制した。「焦ることなくやろうと思っていた。良かったかなと思う」。初の綱取り場所で、自己最多タイの白星を重ねた。

 打ち出し後、師匠でもある伊勢ケ浜審判部長は弟子の綱取りについて「今の時点で(優勝)次点は決まっている。優勝にするに越したことはないが、今の時点で成績的には十分満たしている」と述べた。夏場所で2連覇し、今場所前に同部長が求めていた昇進ラインは「優勝に準ずる成績」。この日を終え、白鵬とトップで並び後続とは3差。優勝争いは2人に絞られたため、条件はクリアした。

 土俵下で審判長を務めた師匠の目の前でともした“当確ランプ”。親方が31年前に63代横綱をつかんだのも名古屋だった。両膝のけがなどで一度大関から陥落し、序二段も経験。何度も引退の申し出を突っぱねた師匠は今年春場所後、まな弟子の2度目の大関昇進伝達式の時には涙ぐんでいたという。「親方、大変でしたね」と声をかけた佐藤俊一後援会長には「私もいろいろ努力をしましたが、一番つらかったのは本人なんです。本人がやったことです」と一言。同会長は「本当に心が通じ合った2人」と、奇跡のV字復活の道を歩んできた師弟に目を細める。

 師匠の番付に並び、最高の恩返しを果たそうとしている照ノ富士。昭和以降、一度大関から陥落し、その後横綱になったのは三重ノ海一人で、平幕以下からでは初の偉業だ。正式に昇進すれば2017年初場所後の稀勢の里以来の横綱誕生で令和では初。平成生まれの力士でも初めて綱を締める。12年名古屋場所以来となる全勝同士の千秋楽相星決戦も見据える、残り2日間。「場所を無事に終わらせることしか考えていないので。明日の一番に集中してやるだけ」。最強横綱・白鵬を破り、堂々と最高位の座につく。(大谷 翔太)

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