海でクラゲに刺されると納豆アレルギーに!?
海や山のレジャーがきっかけになる「遅発性アナフィラキシー」の怖さ【その2】
大西淳子=医学ジャーナリスト
前回(「屋外でマダニに刺されると牛肉アレルギーに!?」)は牛肉やマダニが引き起こす遅発性アナフィラキシーの怖さについて解説しました。実は、同じようなアナフィラキシーが、納豆とクラゲによっても引き起こされます。
納豆アレルギーはアナフィラキシーを起こしやすい
納豆は健康に良い食べ物で、発酵過程を経ているために大豆よりアレルギーが起こりにくいと思われていました。しかし近年、納豆アレルギーの患者が見つかっており、患者の免疫系は納豆のネバネバに含まれるポリガンマグルタミン酸(PGA)に反応することがわかっています。納豆アレルギーはアナフィラキシーを起こしやすく、アナフィラキシー・ショックになる危険性もあります。
PGAは腸内での消化に時間がかかるため、症状が現れるまでに約半日かかると考えられています。納豆アレルギーの男性患者7人を対象とした調査では、蕁麻疹、呼吸困難、意識喪失、嘔吐、下痢といった症状が、納豆を食べてから5~14時間後(平均は9.6時間)に現れていました。
クラゲに刺されると納豆アレルギーのリスクが高まる
興味深いことに、納豆アレルギーを発症した患者の多くは、クラゲに刺された経験を持っていました。クラゲはPGAを産生し、これを利用して毒針を発射します。つまり、クラゲに刺されるたびに、PGAが体内に入ると考えられます。
PGAは「天然成分だから安全で無害」と考えられており、食品添加物として、飲料、プリン、カップ麺、人工甘味料、ダイエット食品などに用いられています。化粧品や石鹸、ヘアケア用品には保湿剤として添加されており、医薬品製造にも使用されています。成分表示には、ポリグルタミン酸または(γ-)PGAと表記されることが多いようです。
すでに納豆アレルギーであることがわかっている人は、海でクラゲにさされないよう、また、PGAを含む製品を避けるようにする必要があります。塩蔵クラゲを使った料理(春雨やキュウリとの和え物、中華風なます、冷やし中華、棒々鶏などに入っている可能性があります)も避けてください。また、PGAを含む製品を食べたり使ったりしているうちに、納豆アレルギーになる人もいると考えられています。
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