痛風と核酸代謝
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尿酸塩結晶生成に及ぼす溶液中のタンパク質とpHの影響 - フローサイトメーターを用いた検討.
金子 希代子山辺 智代藤森 新
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2001 年 25 巻 2 号 p. 121-128

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抄録

痛風発作は尿酸ナトリウム - 水和物(以下MSU)の針状結晶によって引き起こされる. フローサイトメーターを用いて結晶生成を高感度に検出することにより, 尿酸塩結晶の析出に影響を及ぼす因子について検討を行った. 特に, 関節液成分であるアルブミン・グロブリンの共存と乳酸によるpH変化について検討した. その結果, 尿酸過飽和溶液に乳酸を加えると結晶が生成され, タンパク質が共存するとより中性に近い緩和な条件で結晶化が起こることが示された. また結晶形状が変化し, 特にアルブミンとγ-グロブリンを添加したものでは痛風関節炎の際に認められる結晶とほぼ同等の大きさのMSU結晶が生成された. これらのことから, 関節内局所における乳酸などの代謝変化が尿酸塩析出の誘因になると考えられた.

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© 一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
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