オレオサイエンス
Online ISSN : 2187-3461
Print ISSN : 1345-8949
ISSN-L : 1345-8949
総説
ビタミンEの最近の臨床トピックス
笠井 俊二
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 11 巻 3 号 p. 71-78

詳細
抄録

ビタミンEは, 抗酸化作用を有する脂溶性ビタミンである。α-tocopherol transfer protein (α-TTP) 遺伝子変異に起因した家族性特発性ビタミンE欠乏症 (ataxia withvitamin E deficiency : AVED) 患者では, 運動失調, ニューロンの減少, 網膜萎縮ニューロンでのリポフスチン (脂褐素) の大量蓄積, 網膜色素変性を生じる。βリポタンパク欠損症のようなある種の疾患, 慢性胆汁うっ帯肝疾患, 嚢胞性線維症, 進行性の全身性硬化症, 短腸症候群あるいはその他脂肪吸収障害症候群では, ビタミンEの吸収効率が悪く, そのためAVEDと同様な症状を呈する。これら症候群はビタミンE摂取により, 予防や治療が可能な場合があることが以前より知られていた。最近, ビタミンEがハプトグロビン2-2遺伝子型を有する糖尿病患者の心血管疾患を予防すること, およびビタミンEが非アルコール性脂肪肝炎に有用であることが報告された。ビタミンEのこれら最近の臨床トピックスを紹介する。

著者関連情報
© 2011 公益社団法人 日本油化学会
次の記事
feedback
Top