2000 年 62 巻 1 号 p. 23-28
1999年10月10日, 飛騨山脈北部に位置する立山, 内蔵助 (くらのすけ) カールの標高2,720mの地点で, 日本アルプスでは未報告であった永久凍土であると考えられる凍結層の存在をピット調査によって確認した. ピット掘削時の活動層の厚さは120~130cmであった.
この永久凍土の形成には秋の積雪前の凍結とマトリクスを欠く角礫層やルースな砂礫層の存在が, 維持には夏遅くまで残る積雪層が大きな役割を果たしていることがピット調査と地表面温度観測結果から分かった.
また, 永久凍土が確認できたプロテーラスランパートと呼ばれている岩屑地形は, 今まで雪渓 (氷体) 上に砂礫が堆積した地形と考えられており, この地形内の凍土は, 下層に存在する氷体の断熱効果のために底面融解が抑制されている可能性があった.しかし, 電気探査の結果からこの地形の下に氷体は存在しないことが明らかになった.