日本栄養・食糧学会誌
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ラットにおける拘束ストレスに伴う神経伝達物質放出に対するコーヒーの抑制作用
大和 孝子紀 麻有子小畑 俊男太田 英明青峰 正裕
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2002 年 55 巻 2 号 p. 85-91

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抄録

コーヒーとその主要構成成分 (カフェイン, クロロゲン酸) のラットにおけるストレス緩和効果について調べた。ラットの脳海馬における神経伝達物質セロトニン (5-HT) とドーパミン (DA) 放出レベルを in vivo マイクロダイアリシス法を用いて調べ, ストレッサーとして拘束を採用し, 拘束ストレスの負荷前後と, コーヒーと構成成分投与後の拘束負荷前後の5-HTとDA放出レベルを比較した。投与量はヒトがコーヒー1杯を摂取する際の量を基準にラットの体重に換算した値を用いた。拘束ストレス (100分間)は脳海馬細胞外5-HTレベルを著しく上昇した。コントロール実験として2回目拘束の直前に生理的食塩水投与を行った。2回目拘束を行った場合の5-HTレベルの上昇は1回目に比べ約85%であった。コーヒー投与では2回目拘束で1回目の約37%と低下し, 生食水の場合と比べて有意 (p<0.05) であった。カフェイン投与でもほぼ同様 (約33%, p<0.05 vs 生食水) であったが, クロロゲン酸投与ではむしろ1回目より若干増加した。DAレベルに関しても同様な傾向はあったが, 5-HTレベルほど顕著ではなかった。以上のことから, コーヒーは, ラットにおいても, ストレスを緩和するのに貢献していることを示唆する。

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