第四紀研究
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飛騨山脈東半部における前期更新世後半からの傾動・隆起運動
原山 智大藪 圭一郎深山 裕永足立 英彦宿輪 隆太
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2003 年 42 巻 3 号 p. 127-140

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抄録

飛騨山脈の隆起については,鮮新世後期から更新世初頭(2.7~1.5Ma)にかけて,最初の極大期があったとする点では,多くの研究者の意見が一致している.しかし,その後の第四紀の期間にテクトニックな隆起があったかどうかでは,意見が分かれていた.山麓の堆積物から隆起時期を推定する方法では,山脈の隆起がテクトニックなのか,アイソスタティックなのか,判定困難なため,本研究では飛騨山脈,爺ヶ岳一帯に分布する鮮新世後期~前期更新世の火山岩類の構造を解析した.この結果,これらの火山岩類はコールドロンをなしており,東に70°前後傾動していることが判明した.南方の高瀬川流域や槍穂高連峰での資料を加味すると,前期更新世後半(1.3Ma~)以降,飛騨山脈東半部の広い範囲で,東西圧縮場のもとでの挫屈による傾動・隆起を生じていることが明らかとなり,飛騨山脈の2段階にわたるテクトニックな隆起運動が明らかとなった.

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