植生史研究
Online ISSN : 2435-9238
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土器圧痕からみた 縄文時代後・晩期における九州のダイズ栽培
小畑 弘己佐々木 由香仙波 靖子
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2007 年 15 巻 2 号 p. 97-114

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抄録

土器圧痕を詳細に転写することが可能な「レプリカ法」の発達によって,縄文時代の土器付着圧痕であっても種のレベルでの栽培植物の検討が可能になった。その中で従来不明種子と扱われてきた「ワクド石タイプ」圧痕がマメ科種子のへそであるという推定に基づき,へその形状からみた種の同定をおこなった。その結果,「ワクド石タイプ」圧痕が,島原半島や熊本平野を中心とした遺跡から出土した「大型マメ種子」圧痕のへそと同一であることを見い出し,これらと現生マメ科種子との形態の比較研究から,この「大型マメ種子」が栽培ダイズの一種であると推定した。そして,縄文時代後期中頃(BC1600 年頃)にイネやオオムギなどの穀物とともにこれら栽培ダイズが朝鮮半島から伝来したと想定した。

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© 2007 日本植生史学会
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