熱傷
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総説
化学熱傷 : 誰もが知っておきたい知識
山元 修
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2020 年 46 巻 1 号 p. 1-15

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抄録

 化学熱傷とは, 化学物質が皮膚・粘膜に一次性に接触した際, その物質固有の化学反応によって惹起される急性組織反応で, 原則として熱作用は伴わないものをいう. 原因化学物質としては, 酸・アルカリ・腐食性芳香族化合物・脂肪族化合物・芳香族炭化水素・石油関連製品・金属およびその化合物・非金属およびその化合物・化学兵器 (毒ガス) ・その他に分類される. 臨床像は通常の熱傷に類似するが, 化学物質によっては特徴的な症状や経過を示し, あるいは皮膚からの吸収による全身症状を呈することもあるため, 個々の物質の特性を知っておく必要がある. 治療の原則は可及的かつすみやかな流水洗浄であるが, 化学物質によっては特殊な治療が必要である. 化学熱傷を診る機会のある形成外科医, 皮膚科医, 救急医, 総合診療医, 外科医は, 化学熱傷に関する最低限の知識を知っておく必要がある.

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© 2020 一般社団法人 日本熱傷学会
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