肝臓
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肝疾患における血清アルコール脱水素酵素の臨床的意義
滝野 辰郎結城 武彦川村 治雄豊田 栄一坂中 俊男高森 成之高橋 示人金綱 隆弘増田 正典
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1974 年 15 巻 10 号 p. 571-579

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抄録

Serum Alcohol Dehydrogenase (S-ADH)を肝疾患108例,非肝疾患41例,アルコール多飲者17例について臨床的意義を検討した.S-ADHは正常者では活性は低く,非肝疾患でも低値であった.急性肝炎ではS-ADHはGOT, GPTと平行して動くが,流行性肝炎においてはGOT,GPTより早く正常化し,輸血後肝炎では持続的上昇を示す例が多かった.慢性肝炎活動型では非活動型に比し有意にS-ADHが高く,持続的高値を示す例が多く両者の鑑別の補助的方法の一つとして有用と思われた.脂肪肝,前硬変,肝硬変および肝腫瘍,アルコール多飲者では大多数の症例でS-ADHは正常値を示し,閉塞性黄疸では肝内性および肝外性胆汁うっ滞ともにS-ADHの持続上昇する症例は少なかった.S-ADHは肝機能では,GOT, GPTとP<0.001で有意の相関があり,S-Feとは相関の傾向が見られた.また肝組織所見でも肝細胞壊死と0.05<P<0.1で相関の傾向が見られた.今回の患者血清のS-ADHはすべてAtypical ADHを示した.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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