日本畜産学会報
Online ISSN : 1880-8255
Print ISSN : 1346-907X
ISSN-L : 1880-8255
一般論文
エリンギ(Pleurotus eryngii)およびトキイロヒラタケ(Pleurotus salmoneostramineus)を栽培したコーンコブミール培地の消化性および繊維成分の変化
岡野 寛治北尾 玲子三木 聡子
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 75 巻 4 号 p. 551-557

詳細
抄録

食用担子菌のエリンギ(Pleurotus eryngii)およびトキイロヒラタケ(P. salmoneostramineus)をコーンコブミール・米ヌカ培地で栽培し,菌種,培地の充填密度および栽培期間が,子実体収量,培地の消化性および繊維成分に及ぼす影響を検討した.コーンコブミールと米ヌカを風乾重量比9 : 1の割合で混合し,さらにその重量の0.5%量のCa(OH)2を添加し,水分含量を65%とし,培地を調製した.850ml容のキノコ栽培瓶に培地を540gまたは440g詰め,殺菌後,エリンギあるいはトキイロヒロタケの種菌を接種した.菌糸が蔓延するまで20℃の培養室で培養し,エリンギは15℃で,トキイロヒラタケは20℃で子実体の発生を促した.菌種,培地充填密度,栽培期間および子実体収量の異なる培地を採取し,繊維成分組成,インビトロ有機物および中性デタージェント繊維(NDF)消化率と24時間および48時間のガス生産量を測定した.殺菌前の培地の有機物消化率は64.7%,NDF消化率は61.2%であった.充填密度の低い培地にエリンギを112日間およびトキイロヒラタケを113日間栽培した培地の有機物消化率は,88.7~91.5%,NDF消化率は84.1~88.3%へと上昇し,24および48時間でのガス生産量も増加した.トキイロヒラタケを43日間栽培した充填密度の低い培地では,子実体が発生したにもかかわらず,有機物消化率はわずか2.1ポイントの上昇で,NDF消化率は4.5ポイント低下し,そしてガス生産量は減少した.トキイロヒラタケの子実体が発生しなかった充填密度の高い培地では,栽培日数106日と218日の間には繊維成分組成,有機物消化率,NDF消化率およびガス生産量に差はみられなかった.エリンギの子実体が発生した充填密度の高い培地では,栽培日数125日に比べて148日の培地で,ヘミセルロースおよびリグニン含量は低く,有機物およびNDF消化率は高く,ガス生産量は大きかった.

著者関連情報
© 2004 公益社団法人 日本畜産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top