東京未来大学研究紀要
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昭和初期の理科教育における学校飼育動物の位置づけ
鈴木 哲也
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2012 年 5 巻 p. 51-59

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抄録

 昭和初期における理科の位置づけとして、1.飼育動物の必要について、(1)動物の形態や習性などを理解するための観点、(2) 自然に対する親しみを育成するための観点、(3)動物愛護の精神や博愛、同情などの道徳的心情を養うための観点、(4)観察材料の入手の容易さという観点の四つの観点があった。2.飼育動物の種類を決める主な理由としては、(1)飼育にかかる経費が少ない、(2)飼育が容易、(3)病気になりにくいという三点があげられていた。またセキツイ動物のうち剥製標本で代用が示されておらず、生きた動物を授業で用いなければならないものとしてカエル、ニワトリ、フナが挙げられていた。この当時の学校の様子として、昭和初期の投書から、小鳥やニワトリなどを飼育するのは当たり前になってきたことは推察できる。 飼育動物が理科の中で昭和初期にまた注目されてきた理由として例えば、教育界全体の中での郷土教育の高まりが一つの要因として考えられる。

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