2019 年 51 巻 p. 1-13
1919年に出版された『十二人の男』はセオドア・ドライサーが個人的に知り合った12人の人物の伝記的なスケッチであると考えられている。彼らは人間として,そして作家としてのドライサーに大きな影響を与えた。この作品の巻頭から2番目のスケッチである「善行の人」は批評家から短編小説としても高く評価されている。「善行の人」ではドライサー自身が登場し,スケッチの主人公であるチャーリー・ポッターに会うインタビュアーという重要な役割を果たしている。この論文では「善行の人」の特徴を明らかにしながら,作品の評価を試みている。