2015 年 81 巻 6 号 p. 973-978
海産微細藻類 Rhodomonas sp. をマナマコ幼生に給餌し,初期餌料としての給餌効果を検討した。13 日間の飼育実験において,本種を給餌した幼生の生残率は 89.3% と高い値を示し,飼育 10 日目には着底期とされる Doliolaria 幼生期への変態が観察された。これらの結果は,既存の一般的な餌料用藻類を与えた場合よりも好成績であった。また,藻体の生化学成分の分析を行ったところ,本種には海産動物の成育に必須である DHA や EPA などの HUFA が豊富に含まれている事が明らかとなった。今回得られた試験結果は,本種の海産動物への新たな餌料生物としての活用を期待させる。