2001 年 29 巻 p. 305-313
本研究は, 独自の発生過程や文化をもつ佐賀平野におけるクリークとそこにおける人々との関係を特に住民のくらしとその変遷に注目し, 調査研究を行ったものである. クリークと人との関係をひとつの環境社会システムとみなし, 文献・ヒアリング調査とともにDEMATEL法によって, そのシステムを構成する要素間の関係を時代変遷ごとに明らかにした。それらの結果から, 整備事業前は要素同士が複雑に絡み合い, 人とクリークとの関係が深く, 現在では生活の変化や整備事業によって希薄化した一方, イベントなどにより新しい関係が発生していることが明らかになった。このことから, 具体的にはイベントとしての可能性を示し, 今後, イベントによってクリークと人との多元的で重層的な関係をもつことの提案を試みた。