窯業協會誌
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Al2O3-Dy2O3系の高温状態図
水野 正雄山田 豊章野口 哲男
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1978 年 86 巻 996 号 p. 359-364

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抄録

ヘリオスタット式太陽炉を用いて試料を溶融後急冷し, その冷却曲線から試料の凝固点を求め, Al2O3-Dy2O3系の液相線を決定した. 溶融後急冷した試料についてX線回折及び化学分析を行い生成相を調べた.
ガーネット構造の3Dy2O3・5Al2O3, ペロブスカイト構造のDyAlO3及び単斜型の2Dy2O3・Al2O3の単一相は, 1600℃に加熱処理した試料と溶融後急冷した試料のいずれにも観察された.
溶融後急冷して得られた3種の化合物の格子定数は, 3Dy2O3・5Al2O3: a0=12.034Å DyAlO3: a0=5.204Å, b0=5.308Å, c0=7.413Å 2Dy2O3・Al2O3: a0=7.403Å, b0=10.487Å, c0=11.143Å β=108.68°であった.
これらの化合物は高温X線回析を行った結果, 結晶転移は認められず安定相である.
3Dy2O3・5Al3O3, DyAlO3及び2Dy2O3・Al2O3の凝固点は, それぞれ1920±20℃, 2000±20℃及び1954±20℃であった.
Al2O3-Dy2O3系における共晶点は, Dy2O3が18mol% (1760℃), 42mol% (1890℃), 60mol% (1920℃) 及び79mol% (1830℃) 組成で認められた.
Dy2O3の冷却曲線は, 冷却の過程において凝固点と固相における構造変化を示す4個の発熱ピークが認められた.
これらの結果から, Al2O3-Dy2O3系に対する高温平衡状態図を推定した.

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© The Ceramic Society of Japan
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