保全生態学研究
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群集動態を考慮した生態系管理の課題と展望:奄美大島における外来種問題の事例
石田 健宮下 直山田 文雄
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ジャーナル オープンアクセス

2003 年 8 巻 2 号 p. 159-168

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抄録

外来種の駆除が課題となっている生息地の生態系管理の問題点を紹介し今後の課題を議論した. 複数の外来種が生息している場合に, 一方の種だけを駆除すると, 他の外来種が増加して在来の生物群集に新たな影響を与えることが知られ始めており, その事例とモデルを紹介した. 外来種のジャワマングース(Herpesj jabanicus)の駆除事業が実施されている南西諸島の奄美大島では, 別の外来種であるクマネズミ(Rattus rattus)が多数生息するようになっており, 同様の懸念がある. 捕食性外来種の生息密度, 増殖率および食性と, 被食計の生息密度のほかに, それらの生物群集を支える主要な一次生産であり結実の年変動の大きいスダジイ(Castanopsis sieboldii Hatusimaex Yamazaki et Mashiba)の堅果生産量の変動をモニタリングする必要についても紹介した. 最後に奄美大島の森林生態系保全における順応的管理と研究者の役割について, 議論した.

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© 2003 一般社団法人 日本生態学会

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