2013 年 71 巻 3-4 号 p. 217-219
アルビンガイAlviniconcha hessleriはマリアナ背弧海盆の水深 3630 ~ 3655 m から初めて記載された。その後Warén & Bouchetは北フィジー・ラウ海盆から採集された形態的に同種と思われるものについて詳細な解剖学的検討を行い,これがハイカブリニナ科に属することを明らかにした。しかし,分子系統分類の手法により精査された結果,マヌス・北フィジー海盆には2つの,更にインド洋の「かいれいフィールド」には第3の種が含まれることが明らかにされた。
今回ROVハイパードルフィンによって小笠原水曜海山の水深 1380 mからアルビンガイと思われる1標本が採集された(属として日本初記録)。形態学的特徴ではアルビンガイと差異を認めるのは困難であるが,分子系統学的にはこれまで知られている同属のすべての種を含んだクラスターと姉妹群の関係となる。